倉知俊彦さん83 自民党愛知県連会長代理
2人当選で「地方創生」進む!

倉知県議2015.jpg

新見記者 最初に倉知県議A1区の「政権構想」を語っていただきたいと思います。
 今回も民主党の古本伸一郎さんが小選挙区で当選し、2位につけていた自民党の八木哲也さんが東海4県の比例代表ブロックで「惜敗率76・81%」で復活当選でした。
 愛知11区の比例復活戦は、最近の土井真樹・八木哲也2代だけに限定して言えば「4戦3勝」の成績。今後の11区の政権構想の中に比例復活当選をどう位置づけますか。

倉知県議 当地の特殊事情からすれば、小選挙区当選は民主党ですよ。自民党は謙虚に、比例復活当選を目標にします。

新見 11区の自民党を強大にしないと、安定的に比例復活当選の目標は果たせませんね。

倉知 豊田圏から常に二人の衆院議員が出るのがいいんですね。そこを労組員が認識してくれないかと思います。これからの10年先を見据えてまず我々が目指すのは、地方創生です。今までは国の政策のメニューに乗っかって補助金を貰うのが先でした。今度は自前でまちづくりを考えて、それを示して国に乗って貰わなければいけない。許認可権をくれれば自前で出来るんです。自前で組み立てたところに交付金を要求するという転換の大事なチャンスです。

新見 民主党にとっても当地から二人国会議員を出した方がいいんじゃないですか。

倉知 そうなんです。高度な政治論です。

新見 地方創生というとどうしても地域が立ち上がらなければいけない。自民党政治抜きでは語れないでしょう。

倉知 当地の「地方創生」は民主党だけでは無理なんですよ。

新見 先日、三浦県議後援会主催の音楽祭で、三浦県議が「トヨタは地域のために、地域はトヨタのために」と強調しておられた。みんなその通りだと思っていますが、実際には手の打ちようがなかった。自民党側が2人当選の「政権構想」を出されたことで、市民世論が変わるのでは…。

倉知 労働者という立場の市民にも地方政治に目覚めて欲しいと思います。トヨタ労組の一員であるだけじゃなく豊田市民でもありますから。

新見 企業に向かって地域のことも考えて頂きたい、という政策をうまく出せるんですか。

倉知 そこが難しいですね。やっぱり会社の経営者がそういう自覚を持ってもらわなければ。

新見 今後の長期目標ですが、民主の実力は13万票位ですか。自民は12万票位の実力をつけないと、安定的に2人当選は無理では…。

倉知 少なくとも10万票台が必要です。それでも惜敗率は80%台です。

新見 知事選の話に移ります。昨年11月27日、自民党県連会長が党本部に行かれましたね。県連の現職推薦の許可をもらいにいかれたんですか。

倉知 県議団としては争うよりも、大村さんが自民党の政策を全部飲んでいたので、もう一回やってもらってもいいじゃないか、という意見が大勢を占めていました。

新見 前回知事選で大村知事は自民党公認候補(重徳和彦氏)と戦って初当選し、自民党から除名されていますね。党本部は除名処分を解除したんですか。

倉知 除名は解除しておりません。東京都連方式で決着ですね。

新見 除名を棚上げ?

倉知 そうです。大村知事が反省の弁を述べ、自民党本部は愛知県連の「大村推薦」を追認します。それで決着です。

新見 倉知県議ご自身の「12選出馬」は確定ですか。

倉知 いやいや具合良くいけば新しい人を後継者にしたい、本心でそう思っているんです。

新見 八木哲也豊田事務所の鈴木雅博秘書(34)=豊田市浄水町=が出るという話がありますね。

倉知 岡崎の人でしたが、今は豊田に住んでいます。岡崎で120年営んでいる豊川稲荷指定のろうそくやさんの息子さんです。その縁で仏壇屋の鈴木政二前参院議員の娘婿になりました。
 私の県連会長時代に「政治に関心があるので自民党でお手伝いしたい」と申し入れがあり、土井真樹当選後は秘書でした。

新見 いつ後継者の表明をやりますか。

倉知 一挙には無理ですね。まず公募するとか手順を踏まなければ。

新見 彼は公募なら応募しますか。

倉知 それは応募しますよ。彼は日本の大学を卒業後、北京大学で国際政治学を学んだ。政治に関心があります。

地方創生の受け皿に愛知県企画部復活へ

新見 今後の愛知県政の課題は何ですか。

倉知 地方創成テーマでも、昔なら愛知県企画部が市町村の企画担当と一緒に流域ごとに計画を作っていたでしょう。今は県の企画部がなくなり、将来計画が立てられない。

新見 方向は愛知県企画部の復活ですか。

倉知 それに近づけようとしています。神田知事の時に企画部に代えて知事政策局を置いたんです。知事のマニフェスト作成機関になってしまうと、異議を唱えました。大村知事にも企画部を復活し、10年先の計画を示した方がいいと言っています。

新見 愛知県企画部が国の地方創成の受け皿になるわけですね。

倉知 その通りです。

新見 新しい企画部は知事政策室と並立?

倉知 知事政策室はなくなるのでは。展望が外へ広がっていかない。

新見 今の市町村も同じ傾向にありますね。

倉知 桑原知事時代は、市町村の企画担当を県企画部に入れて、ずいぶん勉強させました。最近みよし市の小野田市長から要請があり、県から一人出向しています。優秀な人材ですよ。
 名古屋駅地下にリニア駅ができ、構造改革が進む。それをどう豊田につなぐかが最大の課題なんです。しかし、今の名鉄に新しい路線を整備する勢いがない。東京駅は行くたびに整備が進んで便利になっています。

新見 豊田市の駅前も整備できますか。

倉知 もっと駅前広場を広く取っておかなければいけませんでした。名古屋と対抗するような街作りをしていけるか…。
 名古屋駅には地下30mに新しい駅が出来る。鉄道は50m下を通る。駅や鉄道の地上には補償はない。でも空気抜きスペースが必要です。それをどこに作るにしてもその部分は補償しなければ。

新見 倉知県議はどこで勉強されますか。

倉知 いろいろ資料を取り寄せます。JR東海研究室からも資料をいただき、豊田の街づくりに生かしていますよ。



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三浦孝司さん71 愛知県議会94代議長
水と緑を守り半世紀

2015正月三浦.jpg新見記者 三浦県議は去る11月名古屋国際会議場で開催されたESD世界会議で、皇太子殿下のご案内役をされましたね。

三浦県議 はい、愛知県議会の議長として。
 ESDというのは「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」のための世界会議ですね。私の4期16年間の政治生活も結局は、ESD的なこのことをずっと訴えて来ました。それが私の仕事でした。

新見 そのESD的活動を当地で三浦さんがやって来られたのは「水と緑」の保全活動ですね。何年くらい?

三浦 明治用水土地改良区に入った時からですから53年間、きちんと意識してするようになったのは枝下用水土地改良区(のちの豊田土地改良区)に移ってからの45年、まあ半世紀…。
 新見さんたちと同人雑誌「月刊矢作川」も出しましたね。その創刊号〜100号の合本を皇太子殿下に献上しました。皇太子殿下は歴史がお好きです。矢作川の明治用水の古い頭首工をご見学にいらっしゃったあと、非常にご興味をお持ちにな
ったご様子でしたので、名古屋駅でお見送りの際、「殿下、お笑いになるような物かもしれませんが、かつて矢作川の文化、歴史を綴った月刊誌を100号まで作りました。よろしければご覧になりますか」と申し上げたら、「ぜひ見させて頂きたい」とおっしゃった。

新見 合本は何冊でしたか。

三浦 1年分で1冊ですので8冊です。

新見 そうですか宮内庁にお贈りしたんですね。

三浦 昨年11月、愛知県立豊田東高校が中部地区代表としてESD岡山大会に参加し、矢作川の草刈りやゴミ拾い体験事例を発表したことも憶えておいででした。それでぜひその授業をご覧になりたい、ということで東高校にもご案内したんですよ。

新見 明治用水では何をご覧になったのですか。

三浦 古い頭首工です。

新見 明治期の頭首工から明治用水の歴史を感じていかれ訳ですね。

三浦 そういうことがお好きだそうです。

新見 開会式の日はずっと殿下とご一緒にいたわけですか。

三浦 名古屋駅にお迎えしてからお休みになるまでずっと。

新見 当日は…。

三浦 朝11時頃おみえになり、名古屋キャッスルにお入りになった。それから豊田市のフォレスタヒルズで昼食をお摂りになりました。その後明治用水にご案内でした。

新見 食事は何を召し上がったのですか。

三浦 和食です。猿投の梨だとか この近辺の産物などを和食で召し上がりました。

新見 ご一緒されたのは…。

三浦 私、大村知事、太田市長、都築議長、県警本部長、中部地区の公安局長です。

豊田市コンサートホール後援会主催で大音楽祭

新見 昨秋の議長就任報告の会で市民音楽祭をやることになったいきさつを教えて下さい。

三浦 後援会としては議長就任の祝賀会をやりたいと言われました。名誉なことだが、従来のパーティ式は変えて欲しいとお願いしました。
 普通のパーティで来賓者の挨拶を連ねるより、後援会の方々に楽しんでもらえるような企画にしたかったのです。また地域文化・郷土文化を知らない方も多い。そういう方々に見せることを考えてほしいと言いました。

 私自身が酒井鈴夫県議や岩月寿県議のパーティを段取りしてきた中で考えたこともあります。来賓にも、挨拶じゃなくて何か芸をやってもらいたいとお願いしました。藤川政人参院議員にはギターと歌、八木衆院議員議員には得意の門付け漫才をやって欲しいと。酒井参議院議員には、司会をお願いしました。地元の文化芸能団体にもたくさん出演してもらいました。

新見 三浦さんは後援会の若いスタッフが企画した音楽祭をどう評価しましたか? あれは入場者1000人規模の一大市民音楽祭だったのでは。

三浦 「変わったことやったな」とみんなが言ってくれることを喜ばなければ…。実際みなさんに喜んで頂いたと思います。最後に舞台に上がって歌を唱ったりするところなんか、「こんなことやるのか」とびっくりしていたようでした。

新見 拍手が大きかったですよ。最後は総立ちで唱っていました。

三浦 これまでは偉い人が次々に挨拶をするのが常でしたが、今回は短くお願いしたんです。といいながら私は予定より4分オーバーでした。衆院選が行われることになったので、ESDのことをお話しすることが出来ませんでした。私が政治信条としてずっとやって来た活動が結局はESDの理念に一致していた。そこを音楽祭の皆様にも伝えたかったのです。

新見 そうですよね。

三浦 昨年7月の献血運動推進大会の折に皇太子殿下と昼食を取りながら、「殿下、私の最初の職場は、献血をすると午後から帰ってもよかったので、私は喜んで献血をしておりました」とお話しすると殿下は「それは良いところにお勤めになられましたね」とおっしゃっておられた。
 今回明治用水会館にご案内した時、「殿下、以前にお話しいたしましたが、献血をすると早退させてくれた職場はここです」というと、「ああそうですか」と笑っておられた。

新見 明治用水には二日間もお越しになられたのですか。

三浦 そうです。明治用水が作った「水の学習館」が隣りにあります。頭首工をご案内した翌日に、そこをご見学に雅子妃殿下とご一緒にお越しになられた。

新見 三浦県議の人生の中で、明治用水・枝下用水の水路の保全はもちろんですが、「水と緑」というのはどういう位置づけですか。

三浦 簡単に言えば、私は水のおかげでメシを食わせてもらっている、ということです。だからその水は大切にしなければいけないという思いで
す。それが山を大切にしなければいけないということに繋がり、一代ずっと「水と緑」で食わせてもらっています。

新見 水商売ですね。

三浦 現在の世の中は人間のわがままが横行し過ぎているのではないでしょうか。やれイノシシや猿が出るので困る、熊が出て危険だといいますが、一体誰がそんな環境にしてしまったのか。人間が自然を壊したから、動物が人里に出て来ざるを得なくなったのではないですか。その原点を忘れています。

新見 三浦県議の地元逢妻男川で「近自然河川改修」が進んでいますね。

三浦 産業振興のために道路造りは非常に進んでいますが、それに比べ河川行政は遅れています。もっと近自然工法による改修を進めなければ。
 逢妻男川を近自然改修したのですが、近くの住民から「工事をやりかけのまま業者が帰ってしまった」とクレームがあった。普通の人はもうコンクリート工法できちんと固めた護岸工事に慣れてしまっているんですね。

新見 豊田地域では、近自然いまだ成らず、ですね。  
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中村 晋さん59歳 愛知県議会議員
次期エネルギーは「水素」時代へ

中村晋.jpg新見記者 最初に今年2月1日投票の愛知県知事選のお話を伺います。民主党は現職の大村秀章知事を推薦したんですよね。

中村県議 はい。

新見 現職推薦は自民、民主、公明、維新。共産が独自候補ですね。民主にはどんな問題があったんですか。 

中村 四年前の名古屋市議選と愛知県議選における名古屋選挙区で、我々はことごとく負けました。現職の仲間も落選しました。河村市長・大村知事コンビの勢いに負けたのです。その時のしこりがずっと影響し、大村憎しが続いていました。

新見 河村さんと大村さんは一つの政治団体を作っていたのですか。

中村 河村さんは減税日本、大村さんは日本一あいちの会という地域政党で、タッグを組んで選挙エリアが競合しないように戦っていました。両党派は選挙後に県議会の中で「減税日本一」という統一会派を組みました。
 その代表である大村さんに対しては、民主は当初から抵抗が強かった。政策的にも彼らは何がなんでも減税を主張し、中京都構想を言ってきました。我々と相容れませんでした。

新見 民主の政策的対応は。

中村 減税にはずっと反対でした。自民も同じです。県税を10%減税するには財源が160億円必要なわけです。それなら今愛知県が取り組まなければならない緊急の課題に充当すべきだと主張しました。

新見 大村知事は一応それを呑んだわけです
ね。

中村 そうなんですが、「減税」という言葉を残すことで折り合いました。例えば産業空洞化に対策するための基金を設けた際、名称を「産業空洞化対策減税基金」としたんですよ。バラマキではなく特定の政策課題に使ったことは、結果として評価しています。

新見 中京都構想はどう処理したんですか。  中村 まだ平行線のままです。どういうイメージなのか見えていませ
ん。知事部局側にも中京都のきちっとした構想はまだ無いんじゃないかと思います。選挙の当時、橋本さんの大阪都構想に便乗しようとしただけではないでしょうか。

新見 今回の2月1日知事選挙は、中京都構想に関しては棚上げで行くんですか。

中村 2027年の東京名古屋間リニア開通を目標にして、2020年頃までに愛知県はどう整備していくべきかという総合計画「あいちビジョン2020」が出たのですが、その中には「愛知と名古屋が方向性を合わせて中京都構想を進める」との表現止まりで、具体的な行政単位や機能分担は明確にされていません。

新見 それは市町村の職員も交えて作った政策ではないんですね。

中村 そうです。市町村も交えてということだ
ったら意味があると思いますよ。

新見 知事選後の県政課題は何ですか。

中村 やっぱり産業立県として産業基盤をどうしていくかです。MRJという国産小型ジェット機製作も始めました。他県に比べると大村知事はリーダシップを発揮して活躍してくれる知事だと思います。その評価が固まってきましたね。


新見 エネルギーとしての水素をどう提起していきますか。

中村 トヨタが〝ミライ〟という燃料電池車を出してくれました。あれで水素が国民的課題になるのでは…。 また原発の話では使用済核燃料をどうするかという根本的な課題がクリアされていません。

新見 解決策は?

中村 原発は今は安全性が見えていないので、他のエネルギー源も模索するべきだと思います。その一つが水素ですね。

新見 水素は自動車の中では発電材料ですか。

中村 そうです。他に家庭用の燃料電池が結構普及しています。それは都市ガスを水素に改質して熱と電気を発生させています。
 水素はいろんなところから取れるそうですよ。例えば下水の終末処理場の汚泥から発生するメタンガスを水素に改質出来るんです。その水素を燃料電池の原料にする。
 そういった材料をうまくとりこむと水素を原材料としたエネルギー革命ができるのではと期待しています。それを愛知からやりたいわけです。

新見 豊田にも水素ステーションを作らないとといけないんですね。 

中村 市役所の横のエコフルタウンに大きい水素ステーションがあり、燃料電池バスが使っています。また今豊田インター近くのガソリンスタンドで水素ステーションを作る工事をやっていますよ。

新見 愛知からそれをどう事業展開していくかですね。

中村 愛知県にある地域資源をどう使うかということです。他県に比べると小水力発電など、恵まれた環境にあります。森林から出る木質バイオマスもそうです。電気は作ったらすぐ使わなくてはなりません。でも作った電気を利用して水素を生成し備蓄できます。工場が物を作る時の副産物の水素を取り出して工場の横で備蓄することも出来ます。

新見 稲武の古橋源六郎さんが対談の中で、古本伸一郎さんや太田市長に提起されたんですが、森林整備には製材所をつくる必要がある、と。そこから出る端材はバイオ発電に利用できますね。

中村 民間が事業をやりやすくする所までは行政がやらなくてはいけませんが、後は民間の責任でやってもらうのが基本です。

新見 民間事業所からも手があがるでしょう。

中村 いいですね。同様のケースがあります。今度の12月議会で提案されましたが、愛知県が所有する猿投グリーンロードや知多半島道路などの8本の有料道路を民営化します。管理権は公共ですが、運営権を買って貰うのです。猿投グリーンロードにサービスエリアを作ったり、民間の発想で道路管理していく内容です。

新見 NHKの取材班がまとめた『里山資本主義』という本に中国地方の真庭市の実例が載っていますね。山地資源の木を製材して売り、その残りの端材を発電に使うということを事業化したんですね。製材所の建設場所が問題ですね。

中村 建設会社のエンジニア的な発想で、どう木を製材し端材をどう利用できるかという計画を作ってくれないかなと思いますね。

新見 森林という第一次産業は民主党が一番弱いところですね。

中村 第一次産業というより農業の六次産業と同じですね。木を放っておいたら金にならない。どうやって商売にしていくか、を考えていかなければ。森林を活用して製材所、発電所を動かす。違う価値を開拓することが六次産業ですよ。

新見 森林産業を六次産業化するということですね。11区選出の議員がそういう発想出来ます
か。

中村 私の様に環境音痴でもこれからの新しい可能性を持っているのは森林だと思いますもの。

新見 未開拓の分野は森林しかありませんね。

中村 ちょっと前まで森林資源がエネルギーになると誰が思いました?

新見 再び木がエネルギー源になるという新しい可能性が出て来ました。

中村 既存の利権を守る人たちでは難しい。そうでない所にビジネスチャンスがある。若い人が入るとぐっと変わりますよ。   
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地産地消は未来への投資 太田稔彦市長

正月2面・豊田市長・写真.jpg新見克也記者 豊田市は、都市と農山村がお互いの良さを生かしあい、足りない部分を補いあう「暮らし満足都市」の取組に力を入れていますね。その話をお聞かせください。

太田稔彦市長 暮らしの満足度について市民に意識調査すると、交通、医療、教育などの課題が上位に来ます。それらは便利か不便か、効率的か非効率的かという価値観で判断されますよね。その一方で、豊田市で評価が高いのは自然の豊かさや近所づきあいの良さなどです。市民の皆さんが自分の暮らしを判断するとき、便利か不便かという価値観もあるけれど、そうでない価値観で判断している部分も大きいということです。その部分が「暮らし満足都市」に繋がるのだと思います。

 「限界集落」や「消滅可能性都市」というレッテルのような言葉がありますよね。あたかも都市と二極化しているようなマイナスイメージの捉え方です。私は最近つくづく、それはちょっと違うぞ、第三の価値があるだろうと思うのです。そのことを強く思ったのが昨冬の大雪の時です。稲武地区の大野瀬集落が数日孤立し停電もしていたのですが、食料は備蓄されていたし水の確保もできていた。自家発電を持つ家も多かった。何より、お互いの声掛けや見守りがすごく機能していました。中山間地にはこんな強靱なライフスタイルがあるんです。都市なら機能が麻痺してしまうところですよ。

 いわゆる「限界集落」という言い方が当てはまってしまう地域は確かにある。これは冷静にみてそう思います。ただ、強靱なライフスタイルを持った集落をそう呼んで良いのか…。しかも豊田市の中山間地は1時間〜1時間半かければ都市の雇用の場があります。都市へ引っ越したとしても週末には実家に顔を出せる距離ですよ。そういう生活環境に「限界集落」なんてレッテルを貼っていいのか。もっと前向きな新しい価値感が示せるんじゃないか。それが「暮らし満足都市」の考え方です。もちろん都市が悪いという意味ではありませんよ。都市は職場に近く、色々なサービスも受けやすい。しかも1時間半の距離で別の価値感を体験できます。そういう恵まれた都市なんですよ、豊田市は。このような価値観を皆が共有できれば、子ども達の暮らし方や生き方の選択が幅広くなると思います。

 東京への一極集中が問題になり、東京本社を地方に移転させるとか、首都機能を地方へ移転するとか、そういう議論がありますよね。これは地方でも同じです。例えば名古屋の持つ何らかの機能を豊田に移すという考え方もあるでしょう。豊田市のまちにある機能を、いなかに持って行くという考え方もあると思う。でもそれでは将来展望は開けません。まちといなかの関係は、お互いの良さを生かしあい、無いものを補い合うことが基本でなければいけないと思う。それでこそ厚みと幅ができる。相乗効果を出すことに力点を置いた方がいいですよ。

新見記者 そういう都市と農山村の交流を、個別にマッチング仲介しているのが「おいでんさんそんセンター」ですね。スタートして1年半経ちましたがどうですか。

太田市長 想像以上に多くの人に関わって頂き成果が出ています。取組を拡大すればするほど第三の価値が浮かび上がって来ると思います。しかし同時に、限られたスタッフの数ではきつくなります。暫くは今のやり方で定着させることが必要ですが、おいでんさんそんセンターがその都度マッチングしなくても良いやり方が展開できないかと思っています。それはきっと民間レベルでの活動でしょうね。1カ所でフル回転するやり方から、かけ算へどうもっていくか。課題はそこです。



新見記者 暮らし満足都市の取組では、地産地消の推進も大きな課題ですね。

太田市長 地産地消の本質は何なのか。これが最近の大きな関心事なんですよ。11月の農ライフ創生センター10周年シンポジウムでテーマになった「生物多様性」や「買い支え」の話がとても印象に残っています。生物多様性が大切だという話の本質は、そうでなければ人間の持続可能な暮らしが将来成り立たなくなるということですよね。JAあいち豊田の柴田組合長が言われたように、農村風景を将来に守りつなげることが生物多様性にもつながるのだと思います。そのために我々は何が出来るのか。それが地産地消ではないでしょうか。地元産業の育成や食の安全安心も大切ですが、根本的には「地産地消は未来への投資」なのだろうと思い始めたところです。

 農業だけでなく林業も工業も同じですよ。市民の買い支えによって今の豊田市の状態を未来に残していくことはとても大切です。そういう価値観が共有できれば、子ども達の地元愛、故郷への愛着、誇りというものがセットで動きますよ。

新見記者 12月市議会で製材工場を誘致することを発表されましたが、あれも林産業の地産地消の考えですね。

太田市長 そうです。合併後10年間やってきた森林政策は国レベルでも評価されています。計画通りに間伐が進んでいない面もありますが、中長期的な取組の方向性は間違っていない。ただ税金投入でやり続ける方法はどうしても持続可能でないと思う。やはり、伐り出した木材を市場に流通させることを真剣に考えないといけない。そのための特効薬になるか正直分からないのですが、やらなければならない取り組みの一つが製材工場だと思っています。



新見記者 秋に開催していた「とよたまちさとミライ塾」はおもしろい取り組みでしたね。

太田市長 職員もおいでんさんそんセンターも頑張り、様々な団体がアイデアを出してくれて、とてもおもしろい企画になったと思います。ポイントは、今ある資源や今ある豊田市の良さに着目し、クローズアップするだけで、魅力的なプログラムがたくさん出来るという事です。今ある魅力的な資源を生かしきれていないとも言えます。まちさとミライ塾はそのことにあらためて気づかせてくれました。

新見記者 イノシシやニワトリの解体プログラムもありましたね。

太田市長イノシシは獣害で悪者扱いされていますよね。ジビエ料理もあるけれど身近じゃない。でも、解体から調理まで一連に携わることで食育や命の大切さにあらためて気づくチャンスになった。

 都市部にも気づいていない魅力的な資源がたくさんあるはずですよ。例えば、夜の図書館を案内するプログラムはすぐ定員いっぱいになりました。普段閉じられている書庫を案内して貰えることは、本好きな人にとってはとても魅力なんでしょう。魅力ある資源はもっともっと有るはずです。今回は期間限定でしたが、通年型、宿泊型でやれるものはぜひそうしていきたい。これも限られた職員だけでやるのは限界があるので、多くの団体が関わり合ってやれたらいいですね。 ご購読はコチラ.pdf

身近な場所に公園を みよし市 小野田賢治市長

正月2面・みよし市長・写真.jpg貞島容子記者 市長就任から1年が経過して、市政に関して強く感じていることを教えてください。

小野田賢治市長 常に頭にあるのが「市の発展」と「市民の幸せ」です。そのための行政運営について使命感と責任感をずっしり感じています。市政へのキーワードは「誠実」「挑戦」「飛躍」です。

貞島記者 今後、特に重点に置いている施策はなんでしょうか。

小野田市長 高齢者福祉、子育て、生活環境の整備と充実、産業の振興と雇用の創出です。

貞島記者 まず、高齢者福祉について教えてください。

小野田市長 いま、「第6期高齢者福祉計画兼介護保険事業計画」を策定しており、介護保険運営審議会において計画案を検討して頂いてます。審議会には一般公募で選出された市民の方にも参加して頂いたりパブリックコメントの期間も設けたりして市民の皆様から多くの意見を頂けるよう進めています。

 高齢者にとっての生きがいづくりや健康の維持増進、医療と介護の連携など、高齢者にとって住みよい新たな事業を検討していかなくてはならないと思っています。また、高齢者が増えるとともに介護保険サービスの利用者も増加してきます。みよし市では平成18年度から介護保険料が据え置きでした。27年度から介護保険料を改定する予定なので、その金額についても考えていかなくてはなりません。

貞島記者 次に産業の振興等について教えてください。

小野田市長 後継者が減っていく第一次産業や、中・小・零細企業への支援のあり方を模索しています。市内に職業安定所をつくろうと国へアクションを起こしているのもその一つです。若い人たちにみよし市に住んでもらえるような環境整備も必要です。

貞島記者「住んで良かったと実感できる魅力あるまちづくり」には、自然環境の保全や改善が欠かせないと思います。どのようにお考えですか。 小野田市長 行政評価に関するアンケートでは、多くの市民がみよし市は自然環境が豊かだと答えています。市民1人当たりの市町村営都市公園が県下でナンバーワンですので、それも理由だと思います。公園も自然環境の一部と位置づけるならば、素晴らしいことだと思います。

 現在、市を代表する三好公園と保田ヶ池公園の整備を進めています。また市役所南側の旧中央公民館跡地の公園整備も進めており、緑道をふくめて市民の憩いの場として利用してもらおうと思っています。身近な場所に公園があることが理想です。

貞島記者 みよし市は豊田市と連携して進めなければならないことが多いと思いま
す。新たに感じたことはありますか。

小野田市長 教育関係では豊田市の山間部との学校間の交流も考えたいですが、それには予算や調整が必要です。
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赤とんぼ指標に環境保全型農業 JAあいち豊田柴田文志組合長63

正月10面・JA組合長・写真.jpg新見克也記者 農ライフ創生センターの10周年シンポジウムで、環境保全型農業のシンボルとして「赤とんぼ」を復活させたいと話していましたね。その話を詳しく聞かせて下さい。

柴田組合長 いま中山間地が過疎・高齢化でどんどん疲弊しています。私はそれを農業を通して盛り上げたい。中山間地で米を作り続けて貰うことが、定住対策の一番のポイントだと思っているんです。米を作り続けるということは、農山村の風景を守って行くということでもあります。

新見記者 どのような方法を考えていますか。

柴田組合長 農協として育苗、農機修理、ライスセンター充実、高値で売る努力などで農業を下支えしていますが、市民が農業を応援できる仕組みをつくることも大切な支援だと思います。そのためには農林水産省が向かっている方向だけでなく、違う方向性も必要です。ヒントは一昨年豊田市長と一緒に行ったヨーロッパにありました。ヨーロッパでは国民が農業を応援し、農地を国民の財産という考えで守っている。それが当たり前という風土なんです。日本はそうでなく、農地を守るために大規模な農業法人をつくればいいという考え方ですよね。

新見記者 競争産業と同列の扱いですね。

柴田組合長 たしかに農業法人の育成も必要だし、進めて行きます。でも私は、それだけではいけないと思うんです。ヨーロッパでは農業や農地の大切さを学校で教えているようです。キーワードは「環境」です。環境を守って行く意識がとても高い。

 例えば牛の放牧です。牛舎を建てて集約的にやる酪農に対して効率は悪いですが、景観を維持するために補助金を出してでも放牧を続けて貰っている。景観や環境を守っていく努力を、国民も農家も認め合っているからできる仕組みですよね。ヨーロッパは凄いと思った。

新見記者 そういう風土を日本でつくるにはどうしたら良いでしょうか。

10面・赤とんぼ写真.jpg柴田組合長 佐渡ではトキ復活のため農薬をうんと減らした農業をやっています。そこで作られた米を買うことで応援する市民も多い。コウノトリ保護の豊岡も同じです。このような買い支えによる応援を、豊田市の中山間地、そして平地の農業でもできないか…。

新見記者 その指標が「赤とんぼ」なんですね。赤とんぼが近年激減したのは、ネオニコチノイド系農薬のせいだと分かってきたそうですね。

柴田組合長 そうです。赤とんぼだけでなく多くの虫を殺していることが分かってきました。ヨーロッパでは使用をやめようという動きがあったようです。佐渡や豊岡でもやはり農薬を変えています。カメムシのような「害虫」は退治せざるを得ませんが、「益虫」や「ただの虫」まで殺しちゃいけない。彼らが生物多様性を保つわけですからね。これからはそういう農業が必要ですよ。

新見記者 ネオニコチノイド系農薬をすぐに止められないのは何故ですか。

柴田組合長 代替の農薬がすごく高いんです。でも何とか米の価格に上乗せして、買い支えてもらう仕組みを作りたい。まだ果樹などすべての使用を中止するわけにはいかないでしょうが、田んぼだけでも使用をやめて、その周辺の生態系を守りたい。それをまず狙うのかな。赤とんぼを増やし、その赤色が畦の彼岸花の赤色と重なり、さらに香嵐渓の紅葉の赤色とも重なる。そんな物語ができないかな。紅葉シーズンに香嵐渓を観に来てもらうだけでなく、「赤とんぼ米」を買いに来てくれるようなストーリーが出来たらおもしろいですよね。

新見記者 活動の推進組織は「赤とんぼの会」と言うそうですね。

柴田組合長 「赤とんぼの会」は通称で、正式には「豊田・みよし環境保全型農業推進協議会」と言います。前々から酒を呑みながらそんな話をしていて、県や市がのってくれて実際に始めることになったんです。豊田市とみよし市にも研究調査費をつけてもらって今年度から動き始めました。

新見記者 メンバーは農協と行政ですか。

柴田組合長 はい。市内に12営農センターがあるので、地区ごとに有志の農家さんを募り、まず点で試験的に始めました。

新見記者 来年も12センターで各1カ所ですか。

柴田組合長 そうですね。ただ、農薬だけの問題ではなく、赤とんぼが産卵したり羽化したりするための水のかけひきなど、生きものが生育しやすい環境を整えることの方が大切だと気づかされました。2年目は12センターの他に地域の農家の協力を得てもっと広げていきます。そして少量ですが「赤とんぼ米」の販売を目指していきます。

新見記者 どの田んぼの成績が良かったかは、ヤゴの調査をするんですか。

柴田組合長 そうです。田んぼの生きもの調査の先生を呼んできて農協職員に勉強させました。田んぼには何百種類もの生きものが居ますから、代表的な種類だけで分かりやすく調査していきます。いずれ地域の人や子ども達で行えば市民参加にもなって面白いと思う。大人には「赤とんぼ米」でも、子どもには「ザリガニ米」「カエル米」かも知れませんね。周辺にサシバ(鷹の仲間)が住むようになれば里山の健全な生態系ピラミッドが出来たということですから、そこにも注目していきます。

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木材流通の仕組みを本気で 豊田森林組合 清水元久組合長67

正月10面・森林組合長・写真.jpg新見克也記者 豊田森林組合はこの10年間、市の森林行政と二人三脚で人工林の間伐整備を担ってきました。今後は木材の流通にも力を入れて行くことになると思いますが、どのように考えていますか。

清水組合長 山村の人たちが都市へ働きに出るようになって山が放置され、荒廃して、保水力もなくなったし崩れやすくもなった。そして平成12年の東海豪で大きな被害となりました。それで市が人工林の間伐に本腰を入れてくれ、県も森と緑づくり税を創設し間伐を後押ししてくれています。これがこの10年間進めてきた環境面での森林整備ですよね。
 これからは整備した山の木が大きく生長しますし、国の方針もあって、木材を利用していかねばなりません。しかし伐り出した木を流通させる仕組みがこの地域にはまだ出来ていない。さらに消費税アップもあって木材需要が落ち込み、材価が下がっています。もし補助金が無かったら伐り出す経費だけで赤字なんですよ。森林組合が一番つらいのは、施業を依頼してくれた組合員にお金をバックできず「俺んとこの山を使って組合が食べてるだけじゃないか」と言われることです。でも実際にそうなりかねない。信頼関係が崩れてしまいます。

新見記者 もし補助金が減らされたら…。

清水組合長 それが心配なんです。森林組合には他に収入源が無いですからね。かといって森林組合が山を放っておいて他の事業はやれません。県からも「今のうちに足腰を強く」と言われますが、他に何をやれるのか…。例えばバイオ発電はどうかと言われますが、手を出して失敗したら職員約50人、作業班約150人を露頭に迷わせてしまいます。やはり我々は地道に、環境面と木材活用の両にらみで山を管理していくしかない。

新見記者 12月市議会で、豊田市が大規模な製材工場を誘致すると発表しましたね=2面に関連=。

正月11面・森林組合・写真.jpg清水組合長 ありがたいことです。大きな林業地には既に大きな製材メーカーが進出して流通の仕組みが出来てきましたが、愛知県はポッカリ空いてしまっている。豊田市の森林も向こう10年で蓄積が増しますので、今後は流通の仕組みを真剣に考えないといけません。そんな矢先での市の取組は画期的で、森林組合としては大きな希望の灯りを点して頂いた感がします。腹を据えて期待に応えていきます。

新見記者 製材工場の周囲にチップやペレットの製造施設ができるのが理想ですよね。

清水組合長 そうです。山の残材や製材工場から出る廃材などの資源の有効活用です。いま薪ストーブが人気ですが薪の調達が大変でしょう。これからはペレットストーブが流行ると思いますよ。ペレットなら灯油と同じ感覚で燃料補給できますからね。
 岡山県真庭市を視察して来ましたが、新庁舎にバイオマスボイラーを導入し、ガラス張りごしに見学できるようになっていました。燃料については森林組合がチップを生産供給し、民間施設が廃材活用のペレットを生産供給していました。県内の豊根村森林組合もペレットを生産して村の温泉で活用しています。豊田森林組合も補助金が縮小された時のことを思うと、独自の収入源を持たないと心配です。今後の検討課題です。市のCO2削減施策と連携してペレットストーブを普及するのもいいですね。

新見記者 国が外郭団体を通して「森林施業プランナー」の認定制度をつくりました。豊田森林組合でも育成に取り組んでいますよね。

清水組合長 職員8人が頑張って認定を受けましたよ。県内で1番です。今後は彼らが中心になって「お宅の山はこういう形で道をつけて施業すると、これだけのお金が手元に入りますよ」という提案型の集約林業を進めて行きます。

新見記者 市が人工林の団地化を進めています
が、そこで施業計画を立てるのがプランナーですか。

清水組合長 そういうことになります。市の団地化と似たようなことを、国も搬出を中心に考えていますので、それをドッキングさせます。基本は5ヘクタール以上の集約施業です。そういう取組が進んでいる大規模な森林組合では、自前の作業班だけでなく他の林業事業体にも外注しています。

新見記者 先ほど作業班は150人居ると言われましたが、まだまだ足りないんですよね。

清水組合長 足りません。これまでは伐り置き間伐が中心でしたが、搬出に力を入れるとますます足りない。搬出にも技術が要ります。なるべく機械を使うのですが、オペレーター養成も必要ですし、地形の良い所でないと使えません。一気には変われないので計画的にやっていきますよ。
 新見記者 森林組合以外の林業事業体で、土木建設業者が林業部門を持っている地域もありますね。

清水組合長 県内でも新城では土木建設業の皆さんがやっています。でも豊田ではまだ有りません。お願いはしていますが、これからの課題です。

新見記者 大きな視点でみると、今後、日本の林業はどういう状況になって行きますか。

清水組合長 日本の森林面積はおよそ2500万ヘクタールですが、その半分くらいの面積が毎年世界で消えていると言われます。日本では逆に、戦後造林してきた木が大きくなって森林資源が増えていますので、環境面で世界に貢献できる状況になって行くはずです。また、今後は木材の輸出を考えていくことになるかも知れません。最近、韓国や中国の富裕層が日本のヒノキやスギに好感を持ち始めたようです。これから伸びる分野だと思いますよ。
 しかし悲しいかな、ここ暫く植えて来なかったため、森林の齢級構成にかたよりが出来て、森林版の「少子高齢化」になりつつあります。このまま伐ることだけを続けていたら枯渇してしまいます。

新見記者 林業のサイクルが途切れている…。

清水組合長 そうなんです。これからはある程度は皆伐もして、新しく苗木を植えていかないと将来につながりません。でも植えてもシカの食害でやられてしまう…。苗木の生産者が居なくなってきたなどのたいへん大きな問題もあります。

新見記者 植林への補助制度はあるのですか。

清水組合長 花粉症対策で花粉の少ないスギ・ヒノキを植えることへの国の補助制度が新年度から始まります。少し明るくなってきました。
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河川環境まもる漁協が全国的に経営悪化 矢作川漁協杉本重和組合長70

11面・漁協組合長・写真.jpg新見克也記者 6月の国会で「内水面漁業の振興に関する法律」が可決成立しました。河川環境の保全はこれまで漁協の努力に依存する部分が大きかったですが、この法律で国や地方公共団体の責務も定められました。〝環境漁協〟の矢作川漁協としては、この法律をどう活かして行くのでしょうか。

杉本組合長 河川の漁協は全国的にどこも経営が厳しく、経営危機で解散する組合も出ています。大きな原因の1つは河川環境が悪くなってきたこと。2つめはアユの冷水病など新たな魚病が広がったことです。3つめは若い人が川釣りをしなくなったことですが、これは釣れなくなったから減った面もあるので複合的でしょうね。昔は豊田市役所の若い男性職員の3分の1近くはアユ釣りをしていましたが、今はほとんどやっていませんよね。

 そんなわけで全国の内水面漁協は厳しい状況なのですが、河川環境の保全は漁協に依存している部分が大きいですから、もし漁協が無くなったら大変なことになります。河川法が平成9年に改正され、「治水」「利水」に加えて「環境」が明記されましたが、環境に使われる予算はごく僅かなものです。機能していないと思います。今回の法律はそういう危機感からできたものだと思っています。漁協も経営に困っているし、行政も河川環境の保全は漁協の力を借りなければ出来ない。両者が共に協力していくための法律です。

新見記者 漁協側の責任も強まるわけですね。

杉本組合長 漁協が要望したら国や県も努力しなくてはいけない。逆に、国や県が河川環境を良くしようとする時には、漁協も一緒にやらなくてはいけません。双方が同じ立場で河川環境を良くしていこうという法律です。
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新見記者 この法律は議員立法でつくられたそうですね。

杉本組合長 そうです。問題もそこにあって、各省庁はまだ腰が引けている感じがしますね。

新見記者 条文を読むと「外来生物の被害防止」「冷水病などの魚病対策」「豊かな水量の保全」「魚道や産卵場の整備」など、具体的な内容について国や地方公共団体に努力義務があると書かれていますね。

杉本組合長 まさに漁協単独では出来ない深刻な問題が具体的に列記してあるんです。漁協が申し入れたら、国や県は協議会を設けなくてはならない事になっています。ただ、その窓口がいまだ決まっていない…。もう一つ、矢作川水系には巴川漁協や名倉川漁協など他にも漁協があるのですが、協議会をつくるとき漁協単位でやるのか、それとも水系単位でやるのか、それも決まっていません。公布から半年になりますが、まだ国の指示待ちのようです。

新見記者 今後の課題は、漁協がこの法律をどう使って活動していくかですね。

杉本組合長 そこですよ。いい法律が出来ても、行政が知らぬ顔をしていては絵に描いた餅になりかねません。今後の進め方がとても重要です。誰でも河川環境を良くしたいと思っています。ただ行政にとっては難しい問題が増えることでもある。漁協がどんどん声をあげないと動いてくれないかも知れませんね。当面はそれが一番大事なことだと思っています。行政側にも、河川環境の改善に向けてこの法律を上手に使ってくれる人が増えるといいですね。
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矢作川対談