三浦孝司さん72 愛知県議会議員自民党5期
政治の原点は地域主義

新見記者 豊田市南部の政治家の皆さんは、元自民党県議の故酒井鈴夫さんや前県議の岩月寿さんの時代から、政治の原点は「地域主義」にあると唱えて来られたと思う。どういう意味なのか。

三浦県議 個人も会社も含めた意味での「地域」の発展を築くのが政治の原点であり、目標であるという意味だと思う。

新見記者 「地域主権」の確立は民主社会の普遍的原理だが、同じ意味か。

三浦県議 そう思う。

新見記者 「地域は企業のために・企業は地域のために」と唱えたのは、三浦県議の時代になってからか。

三浦県議 いや、それは違う。トヨタ自動車が各地域に工場進出しようとしたころからの、トヨタ社長の豊田英二さんと酒井鈴夫さんの共通の政治思想だった。2人が地域と企業の共存共栄の「地域主義」思想を築いたんですよ。当時は工場公害の時代だったからバラ色の思想ではなかった。  新見記者 高岡工場進出の時の話だと思うが、酒井さんが一人でリヤカーを引き、オルガンを地域の公民館へ運んだ。そのオルガンを豊田英二夫人の豊田壽子さんが弾き、酒井さんが得意の美声で歌を唱って、工場進出の説明会の前座を、当時高岡町助役の酒井さんが自分でつとめたという。実話ですか、伝説ですか。

三浦県議 前にも話したが、実話ですよ。酒井さんは酒を呑むと、その思い出ばなしを私に夜な夜なされた。豊田の政治の〝地域主義〟が成立していく過程の話ですよ。
 ところが、企業が成長してしまうと、地域と企業の共存共栄の「地域主義」思想が薄れてきた。若い経営陣がノンポリ化してきたと思う。今では労働組合の民主党対策が中心ですね。もう一度「地域主義」を語らなければ。

新見記者 別の観点で企業と地三浦.jpg域の関係を考えなければならない。

三浦県議 そう思う。

新見記者 トヨタ自動車の下山地区の研究施設開発は軌道に乗ったんでしょう。下山地区は三浦県議の支持地盤ですね。

三浦県議 トヨタの研究所・テストコースの用地買収が終わり、次は施設建設ですよ。いま愛知県がトヨタの研究施設に通じるR419の道路整備を急いでいる。

新見記者 研究施設に通う従業員の数は?

三浦県議 確定していないが、ざっと3〜5千人位と言われている。通勤中心では朝夕の交通問題が起きるし、下山地区の発展につながらない。空き家バンクで対応できる数ではないと思う。

新見記者 県庁や市役所の「定住対策」は?

三浦県議 遊休農地を宅地に転用して定住対策をやるべきだが、転用には農地法の規制がネックになっている。下山は大規模工場開発の特殊地域だから「農地転用特区」にして定住対策を強力に推進しなければならない。

新見記者 勤労者の定住対策は道路整備と並ぶ基本対策だと思う。なぜ遅れるのか。

三浦県議 民主政治の原点である「地域主権」を確立し、政治が地域の諸課題に向き合う必要があると思う。政党、地域、経営者が一体になって「農地転用特区」を提起すべきですね。そこから豊田の政治風土は変わって来ると思う。

知的障害者の指導に農作業を採用

新見記者 三浦県議は豊田土地改良区の理事長であり、豊田市高町の「社会福祉法人無門福祉会」の理事長さんですね。「水と緑を守って半世紀」の土木技術者の三浦さんが、知的障害者施設の「福祉の三浦さん」へ転進されたのは…。

三浦県議 長い話があるんですが、第5代豊田市長の西山孝さん(故人)の時代、当時の猿投地区に、三つの大きな福祉団体で構成される「豊田市福祉村」ができた。

新見記者 矢作新報社のすぐ近くです。三つの福祉団体の一つが無門学園ですね。

三浦県議 ほかの市議さんたちと一緒に市福祉村の設立にかかわった関係で、無門福祉会の高齢の創業理事長の野沢保さん夫妻から「跡のことをお願いしたい」と言われたが、「土木屋は福祉はやれません」と、はっきりお断りしました。

新見記者 野沢さんは偉大な地質学者だった人だから、後継の話は最初から真剣だったんですよ。三浦さんと気が合っているなあと思われた。
 話は別ですが、昨年11月10日、厚労省・農水省共催の「農・福連携マーケット」が東京・厚労省前で開催され、豊田から無門学園も参加し、無門農園の野菜やシイタケを販売してきた、と。

三浦県議 職員たちが出かけ厚労省前の広場で、無門のシイタケや自然栽培のイチゴなどを売ってきた。全国から自然栽培の7つの福祉団体が参加したという。塩崎厚生労働大臣が挨拶し、農水省は大臣代理が出た。農・福連携の初の事業展開でしたね。

新見記者 無門福祉会経営の「無門学園」の職員、入所者の数、農場の規模はどれほどですか。

三浦県議 無門学園は26年前の昭和63年(1988)設立で、農地は畑6反・水田4反を耕作。来年は2倍にしたい。
 職員は正規職40人、臨時80人で24時間体制。知的障害者の入所者80人、デイサービス・短期入所80人の現状ですね。

豊田「無門農園」クローズアップ

新見記者 無門学園の農作業採用は知的障害指導の正科ですね。

三浦県議 そうです。

新見記者 一般でも自家消費分は無農薬、有機栽培が増えていますね。

三浦県議 昔は農業の基本は多収穫だったが、今は安全・多収入ですよ。

新見記者 JA(農協)への出荷価格は米1俵1万2千円位でしょう。

三浦県議 ところが、或る民間のスーパー店は無農薬・有機栽培米を1俵4万8千円で買う。4倍ですよ。農業の基本が多収穫から多収入へ変わってきたと思う。農・福連携マーケットなどがこれからさらに進むだろうから、日本の農業は「多収穫」主義から「多収入」主義への転換が早まると思う。

新見記者 去る11月7日、豊田西部の「小清水ふれあい朝市」が初めて宮口神社で開催され、無門学園が学園で生産したシイタケを売っていた。あれは農・福連携というより地産地消ですね。 

三浦県議 宮口神社の朝市に「女性部」が誕生したんでしょう。女性のセンスで「農福連携」朝市を企画してくれたら、無門農園の存在が全国的にクローズアップされますね。 【新見幾男記者】
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中村 晋さん60歳 愛知県議会議員民主党3期
高福祉の負担を考える時代

新見記者 今日は中村県議に新春インタビューをお願い致します。

中村県議 自治体経営はどこも今は難しいですね。日本人は低負担で高福祉に慣れていると思います。だから消費税を上げるというと目の敵にする。その一方で子育てや介護などの福祉サービスをもっと充実しろと要求する。

 しかし税財源が無いのにどうすればいいのでしょう。そう言うと、行革をやれだとか、アレを削れとかという話になりますが、行政サービスと財源をともに考える習慣が必要です。

 人口減少や高齢化の中で、今までのように行政がやるサービスを公共だけに委ねているという時代はもう終わったんじゃないでしょうか。これからは民間や地域と連携する時です。

中村2016.jpg これまでのアメばかり並べる公約を改めて、今後の持続可能な社会のためにムチも必要だと、現実的政策を語る時代です。今回の豊田市長選の争点の一つではないでしょうか。

新見記者 負担が伴うことを言おう、と。

中村県議 負担も伴います。でもその代わり最低限これだけのサービスは提供しますので、皆さんも考えて下さい、と。これを今日は最初に言おうとメモしてきました(笑)。

 もう一つは、今後の労働力不足に対して、外国人の受入れを進めることも考えるべきだと思います。今までみたいに、海外からの研修生を安く労働者として使って、研修終了とともに帰ってもらう、というやり方では尊敬される日本にはなれないし、アジアの中でリーダーシップを取れないですよ。

 語学や技術の問題があり、日本に入ってくるのは難しいでしょうけど、来てくれたらちゃんと日本人と同じような生活レベルを保証する。そして日本で結婚して家族を作り根付いて貰いたい。あるいは帰国して母国で日本の技術を生かして貰いたい。その受皿があるからぜひ来てくれと、そのくらいの決断がいるんじゃないでしょうか。

 先日インドネシアを訪ねました。首都のジャカルタなんか若い人ばっかりなんですよ。しかし日本などに研修生として留学出来る人はまだ少なく、多くの若者は単純労働に甘んじています。移民を受け入れるという方向に進めば、その若者たちにもチャンスを与えることになり、アジアの中での日本の外交的位置付けも高まります。これが私の感じている大きな課題の二つ目です。

新見記者 人口減少は少子化問題でもありますね。家庭においても地域においても、実権を握ってる女性が出産に消極的な選択をするのが普通になっています。

中村県議 今愛知県は出生率が1・46です。それを1・8まで上げ、さらに2・07に上げれば人口700万人を維持できると言われています。

新見記者 先日倉知俊彦前県議の所へ遊びに行った時、石破茂さんの『国難』(新潮文庫)という本をを薦められました。いい本でした。個別的自衛権も集団的自衛権も隣り合わせのものだから行使できるようにすべきだ。それについては、日本はなぜ太平洋戦争をやり、なぜ負けたか、検証を政府主催でやるべきだ、と主張しておられる。大東亜共栄圏を作るという良い目的だったが、結果はそうならならずアジアを侵略してしまった。お詫びではなくアジアの人々になぜそうなったかの説明をやってからでなければ、日本は集団的自衛権は行使できない、と。
 中村 それは正しいと思いますね。今回の安保法制論議では、民主党に国民的議論を広める役割を期待しました。それが共産党と一緒になって、廃案ありきで議論を打ち切るような、やり方をしたのは残念でした。
 南シナ海でフィリピンやベトナムの主張する海域を強権的に埋め立てて滑走路を作る中国に対して、日本は傍観者でいいのか。日本はアジアの各国と手を結び「安保外交」の姿勢を明確にするのかと迫られている時に、憲法違反云々という理由で、議論を断ち切ってしまいました。

新見記者 そこがダメですね。アジアを忘れている。

中村県議 現実論に対応出来ない政党は政権を取れないと思い、すごく心配しています。
 新見 南シナ海の問題は石破さんが提起した問題そのものなんです。日本は間違えたなら間違えたと、正しかったなら正しかったと説明して戦争の責任を明確にしなければ、集団的自衛権は行使できませんよ。

中村県議 新しい時代の平和や国の守り方を日本がアジア諸国に提示出来るか、ですよ。
 武力で対抗するばかりという昔ながらの方法ではなく、どういう諌め方をするとか、戦争に加担せずに平和をどう手繰り寄せるかということですね。それをアジアの諸外国と一緒にやりたい、と表明することだって集団的自衛権の形態だと思います。そういう対案を提起するのが、民主党の役割だと思うのですが。

新見記者 民主党は分裂しそうですが、中村さんはどちらに近いですか。

中村県議 政党の中央に地方が従うばかりでなくてもいいんじゃないかと。愛知県からできることはないのかと考えていま
す。地方の議会、自治体がアジア諸国に出向いてインフラ整備などで、安全保障の下支えをできるのでは…。
 TPPやFTAなどの関税自由化の動きに対して、国内の産業への打撃ばかり議論せず、発展著しいアジア諸国をグローバルな経済環境に導く上で、日本の役割を考えるべきだと思います。

新見記者 そこが関心あるところです。ユダヤ系フランス人、人口学者のエマニュエル・トッドがこう言っています。「国際自由貿易の中にも一部保護貿易を組み入れなければいけない」と。それを踏まえてTPPを論じなければいけないが、総体的に賛成、反対という議論ばかりです。あんなことをやれば山村農業は壊滅してしまいます。そんな品目はどこの国にもいくつかあるはずですよ。日本の稲作農業は国際自由貿易の舞台には参加できないと、宣言することが必要ではないでしょうか。議論がない。

中村県議 そういうことも含め、日本がもっとTPPをリードする余地があるのではないか。

新見記者 そうですね。

中村県議 世界平和に貢献する日本の役割は幾つかあると思います。経済部門でも医療・福祉部門でも貢献できます。アジア諸国から尊敬される国になるようにアナウンスすべきですね。

新見記者 愛知県ビジョン2020で「中京都構想」は実現しそうですか。

中村県議 大阪都構想のような愛知県と名古屋市の行政機能統合はあり得ません。名古屋市がウンと言わないです。

新見記者 河村市長は今の区政でいい、と。

中村県議 そうです。

新見記者 愛知県交通事業の民間委託については現状をどう評価しますか。

中村県議 県内の有料道路8路線の運営権を約1200億円で民間に譲渡するということが決まり、進んでいます。

新見記者 猿投グリーンロードはどうなりますか。

中村県議 8路線の中に入っています。

新見記者 8路線は一社一括管理ですか。

中村県議 そうです。儲かるところもそうでないところもひっくるめて一つの会社に運営を託しま
す。民間がアイデアを出し、朝市とかレストランなどが出来るようになるかも知れません。

新見記者 猿投グリーンロードを含む8路線の民間への管理委託はいつ頃始まりますか。

中村県議 今年の10月頃にスタートします。

新見記者 衆参W選挙の可能性はどう考えますか。自民党は勢いづいているのでやるかも。

中村県議 そうですね。おおさか維新の会がどう関わってくるかですね。先月退任した橋下前大阪市長が安倍政権と組んでどんな動きを見せるか…。

新見記者 中村さんは今年61歳で県議3期ですね。次の県議選はどう変わる予想ですか?

中村県議 最後は組織(労組)が決めることです
が、人を入れ替えることで体制を刷新し、新しい風を吹き込むことが期待できます。これまでトヨタは3期で交代してきました。   【新見幾男】

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情報発信の工夫で共感の輪を 太田稔彦市長

──今年の新春インタビューは、テーマを第1次産業に絞ってお聞きしたいと思います。
 豊田市が市町村合併後に力を入れてきた森林施策は、外部から高い評価を得ていますね。市長はどう評価していますか。

太田稔彦市長 平成17年に市町村合併した根底には、東海豪雨災害の教訓があります。ですからこの10年間、自然災害にどう対応するかという視点で森林施策に力を入れてきました。山主さんたちの理解を得ながら人工林の団地化を進め、ずいぶん間伐整備が進んだと思っています。

──当初の目標設定がすごく高かったですよね。

太田市長 正直正月2面・市長写真.jpgな話、内部にも「目標が高すぎないか…」という声がありました。ですが、高い目標へ向かって山主さんと共に進み、達成できなければ理由を分析して次につなげればいい。そう考えてスタートしました。結果的に目標に届いていませんが、そのことで良し悪しを言うつもりはありません。間もなくリニューアルする新・森づくり構想も高い目標を掲げてほしいと思っています。

──中核製材工場の誘致建設が決まりました(平成30年度稼働)。どのような考えで決断したのですか。

太田市長 森林施策に力を入れてきて、利用間伐を進められるかどうかがポイントだと気づきました。この部分が他人任せのままでは、いつまで経っても構図が変わらない。独自に製材の分野に立ち入らざるを得ないという結論に達したんです。

──木材利用をどうやって拡大していく考えですか。

太田市長 市内の小学校やこども園などの公共施設で積極的に木材を使い始めています。豊田市産材100%が理想ですが、まずは国産材の利用間伐を進めることが前提で、そのあと豊田市産材を中心にするのが正しいストーリーだと思っています。その動きを豊田市から広げたい。それにはまず流域で共感の輪を広げることです。そして次に、県や他の市町にも国産材利用を進めるよう働きかける必要があると思っています。

──国産材の利用を拡大するには公共施設だけでなく、民間にも積極利用してもらう必要がありますね。

太田市長 民間の住宅メーカーと話し合い、理解を得ていくべき段階だと思っています。また一般的なビルの中でも木材利用の可能性があると聞きます。これらも共感の輪をどうやって広げるかでしょう。

──共感の輪を広げるために足りないものは何でしょうか。

太田市長 森林組合など山の当事者からの情報発信の工夫でしょうね。関係者間の情報共有はとても地道にやっていますが、枠を飛び越えて広く情報発信する動きが少ない気がします。国産材が流通しづらいという根本的な課題を抱えるなか大変でしょうが、時には意識して都市住民へ情報発信して欲しい。とりわけ木材利用にはコストの問題があります。それを乗り越えられるような共感の輪を広げるには、情報発信の工夫が重要ですよ。ニーズはいろんな所にあるのですから。

──市長は県外で豊田市を紹介する時「都心に矢作川が流れていて、そこで天然アユが釣れます」と話すそうですね。そんな豊田市のシンボル矢作川ですが、市民の関心は高くないように感じます。市長はどう考えていますか。

太田市長 豊田スタジアムのレストランから撮った矢作川の風景写真を私のフェイスブックに載せた時、とても反応が多かったんですよ。川への関心が薄れたといっても、市民ひとり一人の原風景の中には川があるのだと感じました。
 矢作川の河川環境は、長年の努力によって比較的良い状態が守られてきました。これはとても有りがたい事なのですが、市民の目には当たり前の風景として映っている。だから川への関心が高くないのでしょう。ただ、河川環境が比較的良いとは言え、矢作川はいろいろな課題を抱えているわけですよね。そういう情報はもっと市民が共有できるよう発信すべきだと思います。

──豊田市矢作川研究所や矢作川漁協の役割ということですね。

太田市長 矢作川研究所はとてもアカデミックで出版物も緻密で真面目です。ただ、あれでは市民に読まれにくい。先ほどの森林組合の話と同じで、共感の輪を広げるには情報発信の工夫が要ると思います。そこが分かれ目だと思いますよ。漁業組合も、例えばオオカナダモの駆除等にご苦労されています
が、釣り師だけの論理では共感の輪は広がりにくい。矢作川の魅力をより広く伝えていけば市民の関心度も変わってくるのではないでしょうか。

──農業は豊田市が進める地産地消「WE LOVE とよた」の取組の柱でもあります。今後の展望をどのように考えていますか。

太田市長 TPPで輸入の自由化が進むと、いろいろな商品が流通するはずです。日本人は安全・安心へのこだわりが強いですから、地産地消が暮らしの安全・安心を確保する一番の近道だという認識が強まるのではないでしょうか。それによって生産者がこの先も農業に従事でき、若手農業者の育成にもつながるかも知れない。そう前向きに考えています。

──「WE LOVE とよた」の取組は分かりにくい面があります。いま一度、市長の思いを聞かせて下さい。

太田市長 いつの時代も課題や困難はあります。それを乗り越えていく一番のパワーは、自分たちの取組や住んでいる地域への自信、誇りだと思います。抽象的な言い方ですが、気持ちを一つにする、連携する、気運を盛り上げる、という市民運動的な展開を期待したい。それを象徴する言葉が「WE LOVE とよた」です。スタートはリーマンショック直後に商工会議所が始めた自動車の買い支え運動でしたが、これからは第1次産業をはじめ芸術、文化、スポーツ等も含めたすべての分野で共感の輪を広げていきたい。それができればどんな課題も乗り越えられますよ。

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特産品をPRしたい みよし市 小野田賢治市長

──市長就任から2年が経過して、強く感じていることを教えてください。

小野田賢治市長 地域の発展と安全、安心を願い、「みんなで築きあげる成熟したまち」をめざして行政運営にあたってきました。市政のトップとして感じていること
は、みよし市が自治体のスケールとして非常に良いということです。人口は6万人余、面積は32㎢余りです。福祉、教育、環境、産業、文化などを含め、市民の皆さんと一緒になって進めていくには、ちょうど良い規模であると感じています。

小野田市長.JPG──昨年、市内8会場で開催された「皆さまと語る会」では、どのような意見や提言があったのでしょうか。

小野田市長 「語る会」は、市政への理解を深めてもらうとともに、市民の皆さんからご意見やご提言をいただくことで、協働のまちづくりを進めていくことが目的です。高齢福祉事業と防災事業における自助・共助・公助をテーマに行いました。来場された全ての人が、みよし市の現在・未来を真剣に考えておられることが伝わってきて、とても有意義な会となりました。皆さまからいただいた貴重なご意見・ご提言は、今後のまちづくりや行政サービスに生かしていきます。

──魅力あるまちづくりには、自然環境の保全や改善も欠かせないと思います。今年は市で「いきもの調査隊」を募集したり、NPO法人が活動をスタートしたりして、住民意識が高まってきたように感じます。どのようにお考えですか。

小野田市長 自然環境の保全や改善は大変重要な課題だと思います。いきもの調査隊による2回の観察会には、一般参加者も含め、のべ60人の親子に参加いただきました。初めて見る昆虫を発見したときには、大きな歓声が上がったと聞いています。市内の自然環境の保全について考えていただく機会を提供することができたと考えています。第3回目を2月頃に予定しています。ぜひご参加ください。
 日々の生活の中で自然環境の保全について意識を高めていただくためにも、NPO団体や民間団体との協働による啓発活動の実施を検討していきます。

──次に農業の振興等について教えてください。

小野田市長 昨年、3つの施策を展開しました。ふるさと納税のお礼の品のスタート、軽トラ市の開催、ジェトロ(日本貿易振興機構)の講演会実施です。ふるさと納税のお礼の品にみよしの特産品であるカキやナシ、お米などを組み入れたり、軽トラ市で地元産の農産物をPRしたりしてきました。ジェトロの講演会を行ったのも、みよしの特産品を海外へ向けてPRしていきたいと考えたからです。農産物の六次産業化の推進にも取り組んでいます。

──みよし市は豊田市と連携して進めなければならないことも多いと思います。新たに感じたことはありますか。
 小野田市長 これまで豊田市との連携により様々なサービスを行ってきました。地方自治を推進していくうえで、広域連携による効率のよい行政運営は、今後ますます重要になってくると考えていま
す。 
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環境保全型農業の定着を JAあいち豊田柴田文志組合長64

──JAあいち豊田は平成27年度から愛知県、豊田市、みよし市と連携して、赤とんぼの復活を指標とした「環境保全型農業」に取り組み始めましたね。農薬を生き物に優しいものに切り替えた米づくりの成果と感想を聞かせて下さい。

柴田文志組合長 14カ所設けた試験圃場のうち、赤とんぼが飛んだのは10カ所、実際に赤とんぼのヤゴを確認できたのは8カ所でした。この14カ所で穫れた85俵を「環境保全米」と名付けて産直プラザで販売しています。

──最初の年から成果が出ましたね。たしか「赤とんぼ米」という商品名にする予定ではなかったですか。

柴田組合長 農薬を切り替えただけの第一歩ですから、職員たちが「これでは胸を張れない」と言うんです。平成28年度は農薬も化学肥料も栽培基準の5割以下に減らして取り組みますよ。

──いよいよ本格スタートですね。

柴田組合正月10面・農協組合長・写真.jpg まず農家さんに手をあげてもらい「赤とんぼ米栽培グループ」を立ち上げます。そこで作ったお米を認証する組織も立ち上げて「赤とんぼ米」として発売していく予定です。目標は350俵です。さらにもう一つ「赤とんぼ米友の会」を立ち上げ、消費者の皆さんに応援して頂くことも考えています。

──生産者側と消費者側の両面からの取組ですね。

柴田組合長 友の会では家族参加の生き物調査もやっていきます。そうやって農家の思いを実際に田んぼで感じてもらいたい。試験的に始めた27年度は3カ所で生き物調査を行い、300人ほどの親子が参加してくれました。息長く続ければファンが増えると信じています。

──やってみて分かってきたことや課題はありますか。

柴田組合長 水のかけ引きのタイミングや耕す時期など、赤とんぼの生態に合わせた米づくりを確立することが課題の1つです。いま分かっているのは、稲刈り後の水たまりへ産卵に来るということです。その田んぼを転作したら死んでしまいますから、転作する田んぼには水をはらないようにする必要もありますね。まだ他にも整理すべきことがあります。徐々にやっていきますよ。多くの農家さんが栽培グループに入ってくれれば、いろいろな実験ができますからね。

──農家さんの関心は高そうですか。

柴田組合長 まだ高いとは言えませんが、農薬を切り替えるだけでも一定の効果があると分かったので、いずれは多くの農家さんへ「農薬だけでも変えてもらえませんか」と呼びかけていきたい。そのためにも赤とんぼ米が好評になって欲しいな。農家さんが「農協に頼まれたから」ではなく、「消費者が期待しているから」という気持ちで協力してくれるといいですね。反対意見もあるかも知れませんが、消費者の皆さんが喜んでいる姿を見れば、ただ作るだけでなく、消費者目線で考えてくれるようになると思います。赤とんぼを通して生産者と消費者がお互いの気持ちを理解すれば、徐々に広がっていくんじゃないかな。

──生き物に優しい農薬は値段が高いそうですね。そのぶん米の値段も上げるのですか。

柴田組合長 そうです。今回の「環境保全米」は60㎏あたり2千円くらい高く販売しています。

──ブランド化をねらうのですか。

柴田組合長 環境保全米の取組は、最初からブランド化をねらうのではなく、裾野を広げて底上げすることが大事だと思っています。農薬を切り替えた米があり、その上に農薬も化学肥料も半減した「赤とんぼ米」もある。更にその上には味の良い特A米があり、有機米があってもいいと思う。そういうピラミッドを作っていけば、この豊田市・みよし市で環境保全型農業の底上げができると思います。ねらいはそこです。

──虫だけでなく、水路の魚も上がってくる田んぼにできたら最高だと思います。数年前、豊田土地改良区と県が上郷地区で水田魚道の実験をしたら、驚くほど多くの小魚が田んぼに上がりました。田んぼの温かい水が好きなんですね。

柴田組合長 そうみたいですね。難しいことだけど何処かでやってみたいな。生物多様性は昆虫だけでなく、魚もそうだし、草もそう。それが今後のウリになるのかも知れないですね。

──上郷地区のようにブロックローテーションの集団転作をしている地域では、赤とんぼの復活は難しいですよね。

柴田組合長 そうなんです。ブロックローテーションは必要なことですが、赤とんぼの生態には合いません。でも、そういう場所でも赤とんぼに代わる生き物がきっと居ると思います。平野の田んぼでも生き物調査をしながら生物多様性を考えて行くべきでしょうね。

──生物多様性のために環境保全型農業を広めようという柴田組合長の考え方は、ヨーロッパ流ですか。

柴田組合長 そうです。アメリカの農業は広い面積で単作で大量に作りますが、ヨーロッパのEUの共通施策は全く違い、2作、3作をやる農家に対して補助金を出します。いろいろな生き物が棲めるようにするためです。農地周辺に木や草を残すことに対しても、作付け面積が減る分に補助金が出ます。生物多様性のことをすごく考えているんですね。

 ヨーロッパでは消費者の意識も違います。生物多様性を守るために農業コストが掛かり、バターやチーズが高くなっても、「良い風景を守るためには当然」と買ってくれる。そういうことを学校で教えていますからね。こういう考え方が日本では出てこない。コストの話ばかりしています。教育から変えないといけないのかも知れないですね。そもそもヨーロッパでどんな農業が行われているか知りませんよね。仕方ないのかな、アメリカに歩調を合わせている国だから。

 でも、環境保全型農業の取組をしっかりと続けていけば、消費者の皆さんもいつか必ず分かってくれると思います。応援して貰えるよう、しっかり発信していくしかないでしょうね。

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製材工場を核に木材流通を 豊田森林組合 清水元久組合長68

──豊田市が御船町に誘致する中核製材工場の実施事業者が、西垣林業㈱に決まりました。必要とする原木の量は操業開始の平成30年度で2万5千㎥、軌道に乗る数年後には4万5千㎥とかなりの量ですね。市はこのうち半分を豊田市産材にすると言っています。それは豊田森林組合が供給するわけですね。供給体制をどう整えますか。

清水元久組合長 市がありがたい施策を打ってくれたのですから、期待に応えなくてはいけない。これまで市や県の事業で環境面重視の間伐に力を入れて来ましたが、今後は林産にも力を入れます。

──環境面重視の間伐と、林産にはどのような違いがあるのですか。

清水組合長 間伐は過密な林を間引きして、適度に陽がさし込み下草が生えるようにすることです。林産は伐採搬出し木材を生産することです。間伐だけでなく、主伐(皆伐)もある程度考えないと予定量を集めることは難しいのではないかと考えます。

──林産に課題はありますか。
 清水組合長 皆伐したら新たに苗木を植えますが、苗木生産者が居なくなってきたという現実問題があります。今後はそこにも取り組まないと生産サイクルが途絶えてしまう。それから、苗木を植えるにはシカ等の獣害対策も必要で、そこにも経費が掛かります。このため山主に還元する仕組みを考えないといけない。

──なるほど…。

清水組合長 いま県が旭地区の県有林で実験を始めてくれました。皆伐して材を売り、地拵えして、そこに植林して、獣害対策もすると、どれくらい経費が掛かるのかという実験です。森林11面・森林組合長・写真.jpg組合で育成している森林施業プランナーがその結果を注視して、山主に施業方法を提案していくことになります。

──森林施業プランナーは難しい試験だそうですね。何人合格しましたか。

清水組合長 いま13人です。今年度も受検する予定ですよ。

──話を原木の供給体制に戻します。いま作業班は何人いますか。

清水組合長 130人程です。林産と造林の2班に分かれていて林産班がやや少ないので、それを増やす考えです。高性能林業機械=写真=の班は現状4班ですが、機械を増やしオペレーターを養成して5班体制にします。本当はもっと増やしたいですが、体制上苦しいので、あとは民間業者への委託を考えたいです。

──土木業者のことですか。

清水組合長 そうではなく、民間の林産業者があるんです。今も下請けで手伝って貰っていますよ。豊田には2社しか無いですが、岡崎にもあるのでお願いしていきたい。そして新たに養成もしていく必要があると考えています。

──土木業者の林業参入は難しいものなのですか。

清水組合長 政権に変わって土木業者の仕事が無くなったとき、新城市の土木業者が林業へ参入しましたよ。その業者は今も続けていますが、景気が良くなったこともあり新規参入はありません。

──土木業と林業では仕事の単価がかなり違うそうですからね。

清水組合長 それもありますし、土木はほぼ公共事業なので堅実だということもあります。なにより林業は危険ですから敬遠されやすい。もし林業に参入して労災を出してしまうと、本業の土木業が指名停止になりますからね。だから土木業者は手を出しづらいんです。

──西垣林業㈱は山主への説明会で、「原木を高く買う」と言ってくれました。原木の単価契約は済んだのですか。

清水組合長 まだこれからです。もちろん高く買い取ってほしいですが、西垣林業㈱さんもボランティアではありません。お互いに納得のいく線を話し合いで決めることになると思います。豊田市の森林にはヒノキが多いのですが、西垣林業㈱さんは何でも買い取ってくれるというので、ありがたいです。

──中核製材工場が必要とする原木量の半分を豊田森林組合が供給し、残りの半分はどこが供給するのですか。

清水組合長 県が間に入って森林組合連合会にお願いし、県下全体の森林組合で補って貰うことになっています。
 vということは東三河の豊川流域の木材が中心になりますね。矢作川の源流域である長野県根羽村や岐阜県恵那市の木材は入って来ないのですか。

清水組合長 県下全体でも賄いきれない時のため、根羽村や恵那市の森林組合にもお願いしていますよ。
 v矢作川の河川環境を考えると、県境を越えて矢作川水系の木材を中心にして欲しいですが、そうもいかないのでしょうね。

清水組合長 豊田市の施策という観点から考えればそうしたことも必要かもしれませんが、まずは成功させなければなりません。何はともあれ、市内の木材が売れないことには話になりませんから、われわれ豊田森林組合は、豊田市産材をしっかりと供給していきます。

──人工林の団地化はかなり進んでいるそうですね。

清水組合長 はい。施業する山をなるべくまとめて、長期間おなじ場所で高性能林業機械を稼働させたい。そうやってコストを下げています。いま木材は市場価格が非常に安いですから、とにかくコスト削減しなければ採算が合いません。国・県・市の補助金があるから何とかなっているだけです。補助金が無ければ全くやっていけない世界なんですよ。

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この10年で河川環境の悪化が急速に進行 矢作川漁協杉本重和組合長71

──組合長を2期6年間務め、この3月に退任されるということですので、まずこの6年間を振り返って頂きたいと思います。杉本さんは労働界で永年活躍され、連合愛知、そのあと労働金庫でも役員をされていましたね。矢作川漁協の組合長に就任したきっかけを聞かせて下さい。

杉本重和組合長 きっかけは前組合長からの要請です。漁協のことはまったく経験がなく、自信も無かったので断ったのですが、再々要請され、ちょうど地元の区長を退任して時間があいたので引き受けることにしたんです。

──就任にあたって気を付けたことは何ですか。

杉本組合長 1つは赤字決算を出さないことです。しかし大型冷凍庫などの高額な備品の更新による減価償却費の増大、さらには天候不順にともなう不漁による赤字もありました。この点は残念です。

 2つめはコンプライアンス(法令順守)です。食品を扱うので特に気を付けました。

 3つめは情報の共有化です。役員間でも顔を毎日合わせる組織ではないので、情報の共有化が組織運営の基本になると考えました。

──話題を河川環境に移しましょう。この10年ほどで矢作川の河川環境は急速に悪化してきましたね。

杉本組合長 釣り客の減少傾向が止まりません。原因の1つはやはり河川環境の悪化です。川底の状態の悪化や、オオカナダモの大繁茂が一気に進行しています。原因の2つめは冷水病などアユの病気の蔓延が治まらな7面・漁協組合長・写真.jpgいことです。3つめはレジャーの多様化でしょう。これらが複合的に重なっています。
 漁協としても釣果が出るよう色々な取組をしてきました。例えば、産卵場の造成、天然アユの一番子を親にした人工アユの生産、天然アユの汲み上げ放流など、様々な取組をしてきました。しかし最近の河川状況や冷水病の蔓延状況をみると、漁協の努力で解決できる限界を超えてしまった感があります。


 昨年「内水面漁業の振興に関する法律」が施行されました。これは漁協が国や地方公共団体と協働で、水産資源の保護や漁場の環境保全を行うというものです。国や自治体は、アユ冷水病などの防止、魚道の整備、産卵場造成、水産資源に係る生産・加工・流通など、内水面漁業全般にわたる支援をすることになっています。今後はこの法律を絵に描いた餅にならないよう上手く使っていくことが課題です。そのためには県や市が一緒に取り組めるような信頼関係を築いていかなければなりません。次期執行部に期待しています。

──養殖部門はどうですか。

杉本組合長 養殖用に矢作川の水利権を持っていますし、養殖池も多くあるので、これらを上手に使いたいですね。冷水病さえ克服できれば、矢作川の水で育てたアユをブランド化して看板商品にできますよ。冷水病対策は全国的な課題ですが、対策案が近々開発されそうだということなので、そうなれば養殖事業も軌道に乗ります。

──今年のアユ漁は異常な不漁でした。原因がつかめなかったのですが、ようやく「7月の水温だろう」と分かって来ました=右記事に詳細=。今後どう対応すべきでしょう。

杉本組合長 要するに7月の水温が上がらず冷水病の発症期間が例年より1カ月も長引いたうえ、矢作ダムのゲート放流で急激な水温低下がおこり、かなりの量のアユが死んだと思われます。

──矢作ダムの冷たい底水の影響ですね。

杉本組合長 昨夏は矢作ダムの上流で雨が多かったので仕方ない面もありますが、異常気象の時代ですから今後も起こる可能性があります。急激な水温低下を起こさないよう、国土交通省と協議して矢作ダムの運用方法の研究・改善を要請したいと思います。このことは次期執行部の大きな課題ですね。
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