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ステキな出会いに感謝

トヨタの森インタープリター 川田奈穂子

12月 ビンズイ

4面・ステキな出会い・ビンズ.jpg モミジの紅葉した落ち葉がたっぷり積もった地面は、まるで真っ赤なカーペット。落ち葉もきれいだなあと見とれていたら、地面近くから「ツィー」という小さい声が。鳴きながら歩いて来たのは、セキレイの仲間のビンズイでした。

 ビンズイはこのあたりでは冬鳥で、街中の公園にもやって来ます。テクテクと地面を歩いて食べ物を探す姿を見ると、冬だなあと感じます。

 この時は数羽のビンズイがいて、カーペットの上をカサカサと音を立てて歩きながらモミジの種をついばんでいるようでした。ゆっくりと歩きながら、ときどき「あ、めっけ」と立ち止まってはついばみます。皆さん「花より団子」ですね。

 ビンズイたちはカメラを構える私をあまり気にしていないご様子。どんどん近づいてきて、そのまま目の前を通過していくことも。ここまでくると、気にしていないというのか、私を人と思っていないというのか。

 鳥は色を識別できますが、人とは見え方が違うそうです。「鳥のめがね」なんていう物があれば、紅葉も違って見えるんでしょう。ただ、知らないうちにかけてしまっている「色めがね」をはずすだけでも、世界が変わるかもしれませんね。ご購読はコチラ.pdf

11月 センブリ

4面・ステキナ出会い・写真・.jpg 寒い季節は夜空の星がより一層きれいに見えるようになります。早朝アルバイトをしていた学生時代、日が昇る前にバイト先に向かっている途中で流星群を見たのもこの時期でした。もうかなり前の話ですが、あの時の感動は忘れられません。

 その流星群をしのぐほどの星が地上に現れたのもこの時期です。それはセンブリの花。星形の白い花が一面に広がる様子は星空そのものです。夏の頃から、細くて特徴のある葉がいっぱい出ていたので、秋を楽しみにしていました。いざ咲いてみると、期待以上の数の多さに大喜び。逆にどの花をどう撮ろうかと悩んでしまうくらいです。

 センブリは強烈な苦みが有名な薬草で、煎じると胃などに効く薬になります。葉をちょびっとちぎってなめただけでも舌に苦味が広がり、「良薬口に苦し」とはこのことか!と思い知ることになります。

 とはいうものの、私は苦味の後にほんのりと甘みも感じ、意外といけました。だまされたと思って試してみては。ただし味の感じ方には個人差があるので保証いたしませんが。体調が悪い人ほど薬をおいしく感じるともいいますので、甘く感じることを喜んでばっかりはいられないかも。ご購読はコチラ.pdf

10月 イタチ

4面・ステキな出会い・写真.jpg ある日の昼下がり、トンボを見に小さな池に向かって歩いていたら、目の前を細長い生き物が走り抜けました。そして、池の排水管の中にスルッと逃げ込みました。

 四本足だったけど何だろうと思いつつ、少し離れた場所で静かに待機。すると、中から小さな顔がそっと出てきました。恐る恐るこちらをのぞいたその顔は、あどけない表情のイタチの子ども。ピンクの鼻に真っ白な口元、真っ黒で真ん丸な眼。かわいいなんてもんじゃありません。思わず「かわいーっ!」と、小声で叫んでしまいました。

 しかし数秒後、イタチ君は再び排水管の中へ。こんな大きな生き物と目が合ったんだから当然です。でもそのままその場で見ていたら、一分もたたないうちに再び、そろりと顔をのぞかせてくれました。外に逃げ出したかったイタチ君としては、きっと、いや絶対こう思っていたに違いありません。「うわぁ、あのヒトまだあそこにいるぅ」

 それにしても、生き物の子どものかわいさはたまりませんね。イタチ君としては違う意味でたまらなかったはずですが。見てるだけで何もしないよ、なんて通じないもんね。イタチ君、怖い思いをさせてゴメン!ご購読はコチラ.pdf

9月 ミズトンボ

4面・ステキな出会いに感謝・.jpg 九月に入ると赤く色づいたアカトンボたちが飛び交う姿が見られるようになります。時期を同じくして咲き始めるのがミズトンボ。トンボが咲く…? そう、ミズトンボは昆虫ではなく、秋の湿地に咲く植物です。

 ランの仲間で、ちょっと変わった形の花が咲きます。私には「シュワッチ!」といって飛んでいる姿にしか見えません。ピコンピコンとカラータイマーが鳴ってますよ! こんな白い花が茎にずらっと並んで咲くので、よく目立ちます。絶滅危惧種に指定されていますが、あるところにはあるもの。お気に入りのお顔を探すのも楽しいですよ。「もうちょっと斜め向いてほしいな」なんて話しかけてみたりして。

 秋の湿地ではミズトンボ以外の花もいろいろ咲き始めます。その花に来るチョウや、さらにチョウを狙うカマキリなんかも見つかり始めると、あっという間に時間が経ってしまいます。歩くだけなら数分のところでも、気づけば一時間経過なんてことも。

 ミズトンボが見ごろの時期は、まだ暑さが厳しい日もあります。照りつける太陽の元、熱中しすぎて、違う意味での熱中症で自分のカラータイマーが鳴らないように気を付けましょうね。ご購読はコチラ.pdf

8月 ウチワヤンマ

4面・ステキな出会い・写真.jpg うちわは日本の夏にはなくてはならない道具で、〝団扇〟と書きます。〝団〟には丸いという意味がある通り、ほとんどのうちわが丸っこい形をしています。

 そんなうちわを携帯しているトンボがいるんです。その名もウチワヤンマ。腹部の先にうちわのようなでっぱりが二つ付いているのが特徴の夏のトンボです。トンボに興味を持ち始めたころ、こんなおもしろいトンボ見てみたいなあと思っていました。自宅の近くのため池に寄ってみたところ、なんとウチワヤンマがたくさんいてびっくり。意外と住宅街の中にあるちょっとした池でもすめるようです。

 このうちわ、あおいで体をひやすためのもの、ではありません。しかしとまっているときに、ゆっくりとですがパタパタと動かすこともあります。トンボ好きとしては、そのうちわであおいで欲しい!涼しいかと言われると…風はあまり起こらなさそうですけどね。

 池には日を遮るものがないので、完全な炎天下。そんなときにとるお得意のポーズが逆立ち。こうすることで体に当たる日光の量を減らしているそうです。道具に頼らず、自分のできる最大限の努力をする。最高にエコな夏の過ごし方ですね。ご購読はコチラ.pdf

7月 エゴヒゲナガゾウムシ

4面・ステキナ出会い・写真.jpgまたの名を「ウシヅラゾウムシ」というこの虫は、牛のようにペタンコで真っ白な顔をしています。一度見てみたいと思っていたところ、ふと見たエゴノキで見つけちゃいました。

 枝からぶら下がるエゴノキの実が産卵場所。オスは気に入った実の上に陣取って、メスを待っているようです。あちこちにいて、あるところではカップルが成立、あるところではオス同士が頭突きのケンカ、またあるところではメスが産卵中、と見ていて飽きません。

 メスは産卵する時、まず実をかじって果肉に穴を開けます。そこにお尻をすっぽりはめ込んで産卵。終わると出てくるのですが、おもしろいことに、立ち去る前にしばらく穴をじっと見つめるのです。子どもたちの無事を祈ってお別れしているのかな。深い愛情を感じて、ジンときました。

 そうやって木の下で撮影していたら、突然首筋にヂクッと激痛が!ハチに刺されたかと冷や冷やしつつ、首にくっついている犯人を思い切ってつかんで見てみると、なんとエゴヒゲナガゾウムシのメスじゃありませんか。実からポトッと私の首に落ちたんでしょうね。そして産卵するために穴を開け始め… おいおい、私は実か?ご購読はコチラ.pdf

6月 カイツブリ

4面・素敵な出会い・写真.jpg毎年カイツブリが子育てする公園の池があります。巣は水草を集めた塊が水に浮いているという特殊なもの。この時は、まだ孵化していない卵があったので、片親が卵を温めながらヒナの面倒をみていました。
 ヒナがまだ小さいうちは暖かい親の背中に潜って過ごします。しかし、もう片方の親が餌を持って帰ってくると、わらわらと背中から出てきます。この大喜びしている様子がなんともかわいい! 餌は小魚やエビがほとんど。多少大きくても、ヒナは頑張って丸飲みします。飲み込めずに落としてしまっても、親は根気強く与え続けます。餌を一度水に浸して飲み込みやすくしてやるという細やかな一面も。
 この池でずっと観察していた人によると、雄は雌よりも餌を持ってくる回数が少ない上に、卵を温める時間も短いんだとか。もっと頑張らなきゃイクメン失格だぞ。
 卵を温める役を交代するため、巣に座っていた親が立ち上がりました。もしもし、背中に潜っていたヒナがゴロゴロと転げ落ちましたけど、いいんですか? でも親はそんなことお構いなし。要所要所で細やかな気遣いはするけど、大胆さも兼ね備えた絶妙の子育て。こりゃ勉強になるなあ。ご購読はコチラ.pdf

5月 ムカシヤンマ

4面・ステキな出会い・写真.jpgある湿地での出来事。ヒューと飛んできて、少し先の木の幹にペタッととまったトンボがいました。黒っぽくて大きいこのトンボはムカシヤンマ。生きた化石と呼ばれるムカシトンボとは違う種類ですが、ムカシヤンマも古代の特徴を残しています。

 ムカシヤンマはとっても大人しい性格です。私が近付いても逃げる気配もありません。さあ、どこまで近付けるか挑戦!目の前まで来たけど、微動だにしません。とまっているところを真上からのぞき込んでみました。私の息がかかるくらいの近さでしたが、びくともしません。最後に手を真横に並べて大きさ比べ。うわぁ、同じくらいの大きさ!それでも全く動じません。

 もちろん性格には個体差もありますが、ムカシヤンマはのんびり屋さんが多く、私はとまっているものを素手で捕まえたこともあります。手のひらをかぶせるまで動かないなんて、厳しい自然界の生き物としてそれでいいのか?と心配になってしまいますが、大昔からこれで生きてきたんですから、いいんでしょうね。

 何かと時間に追われがちな現代ですが、ムカシヤンマを見習ってのんびり、ゆったりライフを目指しましょう。ご購読はコチラ.pdf

4月 シオヤトンボ

4面・ステキな出会い・写真.jpg イナバウアーといえば有名なフィギュアスケートの技の一つ。背中を大きく後ろに反らせる姿勢を思い浮かべますが、正しくは反らすことがイバナウアーではなく、足の形が問題なんだとか。

 それはさておき、フィギュアスケーター顔負けのイナバウアーをやってのけるのがトンボたちです。春、真っ先に羽化するシオヤトンボのヤゴが草にとまっているところを見つけました。しばらくすると背中が割れ、成虫が体を後ろに反らせながら出てきました。頭を下にしたままどんどん出てきます。落っこちそう!というところでいったんストップ。見事なイナバウアー!頭に血が上りそう…でもトンボには血がないからいいのか。

 そして、この次が一番の見どころ!腹筋運動をするように、ひょいっと反っていた体を持ち上げ、自分の殻をつかんで残りの体をするっと殻から引き抜きます。これがほんの一瞬の出来事なので、瞬きをしている間に終わっちゃった…なんてことも。後はハネと体をゆっくりと伸ばし、飛び立っていきます。

  羽化直後のトンボのハネはとても瑞々しく輝いています。キラキラと飛び立つ姿を見かけたら、ぜひ手を振って見送ってあげてくださいね。ご購読はコチラ.pdf

3月 ヒレンジャク

4面・ステキな出会い・ヒレン.jpg 木の枝にボコボコくっついている大きな緑色のくす玉。これは、木に寄生する植物ヤドリギです。そして、このヤドリギをあちこちにばらまいているのが、今日の主役のヒレンジャクたち。

 ヒレンジャクは春が見え隠れするこの時期に、ヤドリギめがけて群れでやってきます。お目当ては宝石のような透明感のある黄色い実。パクッ、ゴックンと丸のみします。上手にヤドリギにぶら下がりながら食べてるぞ…あ、滑り落ちた!と、見ていて飽きません。

 ひたすら食べたら、次にするのは「出す」こと。木の枝にとまってじっと大人しくなったかと思ったら、おおおっ、おしりから粒々が出てきました。ネバネバとしたものでつながったまま、次々と出てきます。最後はおしりから離れて落ちたと思ったら、ネバネバのおかげで下の枝に引っかかりました。これが、ヤドリギの種が木の上にばらまかれる見事な連係プレーの一部始終です。

 一度だけヤドリギの実を食べてみたことがありますが、これが甘くておいしい!ただ味は良いのですが、ネバッとしたものが舌にへばりつき、半日ほど気持ち悪い思いをしました。こりゃ鳥の糞もネバりますわ。あ、私のは大丈夫でしたよ。ご購読はコチラ.pdf

2月 ウラギンシジミ

4面・ステキな出会い・写真.jpg 珍しく雪が積もり、一面真っ白な世界になったある朝、あのコのことが心配で仕方ありませんでした。無事かしら? とドキドキしながら見に行ってみると…定位置にいるところが確認できてホッと一安心。

 そんなあのコとは、木の葉の裏で冬眠中のウラギンシジミ。冬の初めに見つけてから二か月半ほど頻繁に様子を見に行っているうちに、完全に情が移ってしまいました。

 ピタッと閉じたハネの間に触角をしまい込み、脚も縮めてじっとしたまま動きません。でも黒くて真ん丸な眼はしっかりこちらを見ているようです。「チョウと見つめ合う」なんて体験は、相手がチョウだけに超貴重、だったりして?

 雪はこの後も降り続き、積もった雪の重みで木が曲がってしまいました。とまっていた葉の角度が変わり、チョウに雪が当たるようになったら大変!このコは幸い無事でしたが、中にはこういったアクシデントで命を落としてしまう場合も。自然って厳しいっ。

 無事に冬を生き抜くためには、冬眠する場所の選択だけでなく、運の良さも重要なポイント。日ごろの心がけを良くして、神様仏様にしっかりお願いするのが、人生にとっても一番かも?ご購読はコチラ.pdf

1月 オシドリ

ステキな出会い・写真.jpg 冬にやって来るカモのオスは、ほとんどがメスよりも鮮やかな色の衣をまとっています。そんなカモの中でも、ひときわ美しいのがオシドリ。赤、橙、緑、青…。ありとあらゆる色を体中に散りばめ、さらに独特の形の羽が人気を集める元となっています。
 とても絵になるオシドリですが、警戒心が強いので木陰に隠れていたりして、そう簡単には見られません。しかし、とある池では、昼過ぎになると人(鳥)が変わったように見やすい場所に出てきて、その姿を披露してくれるから不思議です。
 最初は集団で出てきても、暫くするとなんとなくカップルとそれ以外に分かれて行動を始めます。オシドリのカップルは仲睦まじいことで有名で、ぴったりと寄り添っていたり、時にはお互いに羽繕いをしてあげたりと、人目をはばからずラブラブぶりを発揮。鳥だから見ていて微笑ましいですが、人間だったら「バカップル」と言われるだけなのでご注意を。
 こんな仲睦まじい「おしどり夫婦」も実際はその年限りで、次の冬には再び婚活して違う相手とカップルになるんだとか。でも年明け早々の記事としては、そんな裏話は控えた方が良いかも?あっ、もう遅いか。ご購読はコチラ.pdf


12月 フユシャク

4面・ステキナ出会い・写真.jpg冬は虫、特に成虫のイメージとは程遠い季節。クワガタやチョウなど成虫で越冬する種類の虫もいますが、みなさんどこかで冬眠中。活動することはほとんどありません。でも世の中いろいろいるもので、寒い時期にしか成虫が見られないのが、フユシャクと呼ばれるガの仲間です。林の中をチラチラと白っぽいガが飛び始めると、秋も終わりだなあと感じます。

 そんなある日の昼過ぎ、一カ所でフユシャクが乱舞していました。何十という数の白いガが飛び交い、まるで粉雪が舞っているかのよう。何事かと思って近づくと、どうやら中心部の何かをめがけて来ているようです。その目標物とは……一匹のメス! メスがオスを呼ぶフェロモンを出し、それに惹きつけられたオスが大集合していたという訳。フユシャクのメスは、翅が退化して飛べません。写真右側の黒っぽい方がメス。目立たず見つけ難いメスの居場所を、オスたちが教えてくれました。

 この時すでにカップルが成立していましたが、そんなのお構いなしで、ムスメのフェロモンに文字通り狂喜乱舞するオトコたち。「もうメスしか見えない!」って感じです。本能とはいえ、なんだかあきれちゃうなあ。

11月 コカマキリ

4面・ステキな出会い・写真.jpg窓枠の隅でじっとしたまま動かないコカマキリを見つけました。そんな所で何をしているのかね?と近づいてみると、お腹の先には白い塊が。あれれ、産卵中だったのね。
 卵が白い泡で包まれるように、上手に窓枠に産みつけていくお母さんカマキリ。大切な卵が無事に冬を越せるよう、愛情もたっぷり入れて。
 このとき産んでいたのは部屋の外なので問題はありませんでした。実は、この年の春に同じ部屋で大事件が起こったんです。
 前の年に部屋の中で産卵していたらしく、春、気付いた時には孵化した大量のコカマキリの子どもたちが窓際にうじゃうじゃ…。うごめく子どもたちを目の前に呆然としながらも、これはレスキューせねばと、一時間以上かけて全員を外へ出しました。にもかかわらず、翌日カーテンの裏などからまだ何匹も見つかって、ギョッ!なんとも心臓に悪い出来事でした。
 もしかして、あの時レスキューした子どもが大きくなって産卵に来たのかもしれないと思うと、感慨深いものがあります。だから私がまたあんな目に会わないように、部屋の外に産んでくれたのかも。お気遣いありがとうございます。ご購読はコチラ.pdf

10月 アケビの実

4面・ステキな出会い・写真.jpg花やトンボを撮影していていると、さすが食欲の秋、お腹が空いてきました。時間はちょうどお昼時でしたが、この日はお昼ご飯を持っていませんでした。でもそこは実りの秋。ふと見上げると、目の前に大きなアケビの実がぶら下がっているではありませんか。しかもパカッと開いて、見事に食べごろの様子。

 こうなると、鳥たちも実を食べにやって来ます。真ん中の部分が甘くておいしいのは、人も鳥も同じようです。ということは分かっていましたが、少しだけお相伴にあずかろうと実をいただいてしまいました。

 種を包む部分がおいしいので、種ごと口に入れ種だけをプププ…と飛ばします。アケビとしては種をまいてもらうために甘い部分も用意しているので、私もちょっとだけ種子散布のお役に立ってみました。ただ、アケビが期待するほど遠くにばらまいていませんが。

 自然にできた実なのにお店で売っている果物よりも甘く、二つ食べたところでさっきまでの空腹はどこへやら。これは鳥たちにとっては大ごちそうのはずです。実はまだまだありましたが、どこからともなく飛んで来る鳥たちの視線が…。はい、もう食べませんからご安心を。ご購読はコチラ.pdf

9月 オオスズメバチ

4面・ステキな出会い・写真.jpg 歩道を歩いていると、足元をじっと見つめて立ち尽くしている人がいました。「何見てるんでか?」と聞きながら視線の追っていくと…ぎょえ〜!
 思わず叫んでしまったその理由は、オオスズメバチがカマキリを襲っていたから!
 まだカマキリが脚をバタバタと動かしているのなんて気にせず、ガリガリかみ続けるオオスズメバチ。ただ、その場で食べるのではなく、巣に持ち帰るために胸部と腹部の間をかみ切ろうとしていたようです。
 ハチが一生懸命カマキリにかみついている間は、こちらに気が向かないので、思わずカメラを五センチほどの距離まで近づけて写真を撮ってしまいました。そして、ようやくかみ切れたと思ったら、カマキリの上半身を重そうに抱えて飛んで行ってしまいました。私もすぐにこの場を離れましたが、おそらくハチは再び戻って残りの腹部も持って帰ったはずです。

 ハチは毒針を持っているため恐れられていますが、立派なカマを持ったカマキリを襲うなんて、さすがに命がけのはず。カマキリが弱っていたのか、それとも他に獲物がなくて困っていたのか?炎天下、壮絶なシーンを目の当たりにしながら考えてしまいました。ご購読はコチラ.pdf

8月 ウバユリ

4面・ステキな出会い・写真・.jpg お盆のある日、矢作川沿いの道を車で走っていた時のこと。民家もなく、車もほとんど通らない道で、順調に走っていましたが、突然、背の高い花がどーんと道脇に立っているのが目に入りました。あっ!と思った時にはすでに通り過ぎてしま
っていたので、すぐに止まりそのままバック。その花の前で一人大喜びしてしまいました。

 その花とは、高さ二メートルほどもある立派なウバユリ。こんな高さのものが道の脇に立っていたらまるでバス停のようです。ネコバスだったら停まるかも?

 真上にすらっと伸びた茎の先に、いくつものラッパ型の花が咲いていました。その一つ一つが、これまた帽子にできそうなくらい大きいんです。見上げるような高さと花の大きさは貫禄たっぷり。横に並んで一緒に写真を撮れば良かったと、帰ってから思いました。

 ウバユリ自体そう何度も見たことがなく、以前からまた見たいとは思っていましたが、予想外に、しかもとても立派な株に出会えてうれしさ倍増!

 このウバユリの印象が強すぎて、この日どこに向かって何を撮ろうとしていたのか思い出せないんです。もしかして、ウバユリのせいじゃなかったりして…。ご購読はコチラ.pdf

7月 チュウサギ 

4面・ステキな出会い・写真・.jpg 稲が伸びて緑色になってきた田んぼでは、白鷺と呼ばれるサギたちが見られます。白鷺はダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギといった白いサギのことを指します。

 チュウ(中)サギと言うだけあって、首の長さや体の大きさはダイ(大)サギとコ(小)サギの中間くらい。夏鳥なのでこの時期しか見られない上に絶滅危惧種。田んぼに群れるサギたちの中に、チュウサギが混ざっていると、ちょっとしたお宝を見つけた気分です。

 チュウサギが稲の間を上手に歩いて、時々水の中にくちばしを突っ込みます。でもそう簡単には獲物は捕まらないようです。何度かに一回はゲットしてパクッとひと飲
み。何を食べてるのかなと疑問に思っていましたが、口を開けて飲み込む瞬間が撮れたとき、その謎が解けました。獲物はオタマジャクシだったんです。しかし、この体でこの獲物の大きさとなれば、相当食べなきゃお腹一杯にならなさそう。

 ドジョウを捕まえたときは麺をすするように、ツルッと丸飲みします。ドジョウもオタマジャクシもヌルッとしてて、のど越し良さそうですね。やっぱり暑い季節は麺よね。さあ、私も帰って冷たいお蕎麦でも食べようかな。ご購読はコチラ.pdf

6月 ケリ

4面・素敵な出会い・写真.jpg 田んぼ道を車で走っていると、一羽のケリがけたたましい声をあげながら目の前に飛んできました。そして、翼をダランと下げてこっちを見ています。ケガをしているように思えますが、これを見て「あぁ、近くにヒナがいるんだな」とすぐにわかりました。

 これは偽傷行為といって、ヒナを守るために敵の目を自分に引きつける親の愛情の現れです。「ケガしてて飛べないんです」という顔で、私を誘導するようにゆっくりと遠ざかって行くケリ。飛んできたんだからケガしてる訳ないのですが、ちょっとダマされたつもりで付いて行ってみまし
た。時々ケケケと鳴いて私の関心を引こうとしながら、こっちをチラチラ見て確認していました。

 十メートルほど移動した後、ケリは突然飛び立って最初にいた辺りへ向かいました。振り返って見ると、やっぱり! ケリが降り立った場所にはかわいい三羽のヒナが親の後を付いて歩いていました。「ここまで敵を引き離したら大丈夫」と思ってヒナの元に戻ったんでしょうね。

 えっ?「ステキな出会いに感謝」ですって?
ステキどころか、大迷惑だったわよ。とケリの心の叫びが聞こえてきそうです。ご購読はコチラ.pdf

5月 ムシクソハムシ

ステキな出会い・写真・ムシ.jpg イモムシたちが、葉をムシャムシャと食べる季節がやって来ました。当然食べたら糞をしますね。今回はそんな糞のお話…ではありません。

 木の細い枝に、黒くて小さなイモムシの糞が付いていました。よくも上手に枝に乗っかってること、と思いながら通り過ぎようとしました。が、あまりに形がきれいな俵型だったので、気になってよく見たら、なんと細い脚が生えていて枝の上に立ってるじゃありませんか。これはイモムシの糞ではなく、ムシクソハムシという、れっきとした生き物だったんです。

 名前は「虫の糞のようなハムシ」と、見たまんま。糞に似せることで外敵に食べられないようにしているのでしょう。でも、さらにすごいのは、この写真のように後肢で卵を抱えながら、自分の糞で卵をコーティングするところ。すでに、枝に小さな楕円形の卵が一つ生みつけられているのが分かりますか?黄色い卵が、コーティングによって枝と同じ色になり、見事に枝の一部と化してしまうのです。資源をフルに活用する精神は、ぜひとも見習わなくては。

 驚くことに、幼虫は糞のカプセルを背負って生活しているそうです。名前以上に糞尽くしなんですね。ご購読はコチラ.pdf

4月 ヤマウグイスカグラ

 春4面・ステキな出会い・写真.jpgの湿地を代表する花の一つがハルリンドウです。ただ、晴れて日の光が当たらないと花が開かないので、お天気運も大事です。

 水色のじゅうたんを敷いたように、一面ハルリンドウが咲いている日は最高です。花の色には濃い紫から白っぽいものまでいろいろありますが、私は少し淡い青色が好きです。花の数も株によって様々で、一輪静かに咲いているものもあれば、どんだけあるの?というくらいびっしりと花のついている株もあります。どれを撮ろうか目移りしちゃって大変!なんて、贅沢な悩みです。

 ハルリンドウが咲くような天気の時は、いろんな虫たちも元気いっぱい飛び回っています。ハルリンドウは人気があって、よくチョウたちがお食事に来ます。蜜は花の奥深くにあるようで、花にとまって「よいしょっ」と頭を奥まで突っ込む様子は、お世辞にもスマートとは言い難い…。でもこれは、花粉を虫の体に付けて運んでもらおうという、花の作戦なんです。

 ポカポカ陽気の中、湿地の木道に寝転がって撮影していると、そのままウトウトと夢の中へ行ってしまいそうに。通行の妨げだけでなく、倒れていると心配をかけないように気を付けましょう。ご購読はコチラ.pdf

3月 ヤマウグイスカグラ

ステキな出会い・写真.jpg三月下旬になるとヤマウグイスカグラの小さな花が見ごろになります。ラッパ型の花を下から見るとお星さまの形をしていて、とってもかわいいんです。数年前に初めて見たとき、思わずひと目惚れしちゃいました。

 うっかりすると時期を逃してしまいますが、よし、そろそろと思って行ったところ、ベストのタイミング!枝という枝に濃いピンクから白っぽいものまで、様々な色の花が揺れていました。

 花が少ないこの時期、虫たちも貴重な蜜を求めてやってきます。でも花は下を向いてるし、蜜は奥の方にあるしで、ちょっと大変そう。なんとか花の縁につかまり顔を奥まで突っ込みます。人間界では「お行儀が悪い」と言われそうですね。

 花の写真を撮っていたら小さなアブのような虫がお食事にやって来ました。初めは気にしていませんでしたが、しばらく経ってから見ても同じ花にいます。あれ?と思いよく見ると、顔が花から出てる…。角度を変えて見たところ、なんと、小さなクモがこの虫を捕まえているではありませんか!花にまぎれて待ち伏せし、来た虫をガシッ!とやったのかな。春早々、自然の摂理を目の当たりにして、ちょっと気が引き締まりました。ご購読はコチラ.pdf

2月 ホソミオツネントンボ

4面・ステキな出会いに感謝・.jpg この写真は、ただの小枝ではありません。二本あるうちの下の一本は、実はトンボ。ホソミオツネントンボが越冬しているところなんです。

 ほとんどのトンボが卵かヤゴで冬を過ごす中、このトンボは成虫で越冬します。温かい時期は鮮やかな水色なのに、冬は地味な茶色に変身。そして見事に自分の体と同じような太さの小枝や草の茎にくっついて、その一部になりきります。これじゃトンボがいると言われなければ、絶対に気付きません。いや、いるとわかってても、ちょっと目を離すとどこだかわからなくなっちゃうくらいです。

 なりきりも通り一辺倒じゃありません。近くの枝が曲がっていたら体も曲げていたり、直立した茎の上に逆立ちしていたりと、周囲に上手に溶け込んでいる様子には、ただただ感心するばかり。本能ってすごいです。

 不思議なのは、葉の裏などに隠れるようなことはせず、堂々と雨や雪にさらされているところ。こんな細い体なんだから完全に凍ってしまいそうですが、冬でも暖かい日には飛んで餌を探すそうなのでびっくりです。私なんて足の小指に霜焼けができて困るくらいなのに、もしトンボだったら全身霜焼けってこと…?ご購読はコチラ.pdf

1月 ルリビタキ

4面・ステキな出会い・写真.jpg ヒッヒッという声が聞こえたと思ったら、何かが視界の端を横切りました。振り向くと、そこにはつぶらな瞳でこちらを見つめるかわいいルリビタキが!

 ルリビタキは名前に瑠璃と付いている通り、鮮やかな青色をした鳥です。そっと近づくと、尾をピコッピコッと上下に振りながらこちらの様子をうかがいます。飛んでも少し前に移動するだけで遠くには行きません。すると、また私がそっと近づく…以下同文。近づける距離には個体差がありますが、幸いこのルリビタキはあまり逃げない方だったので、しばらくの間「ダルマさんが転んだ」状態を続けながら写真を撮らせてもらいました。

 ルリビタキは、ひと冬同じ場所に縄張りを構えます。行けば必ず会えるというわけではありませんでしたが、会えば会うほど、その可愛さにのめりこんでしまいました。あの尾を振る様子がまたかわいくて…もう完全な骨抜き状態。見るだけで幸せ気分満点でした。

 こんなルリビタキですが、きれいな青色になるのはオスだけ。しかも全身となると何年もかかると言われます。厳しい自然界で生き抜くことは簡単ではありません。幸せの青い鳥そのものが幸運でできていたんです。ご購読はコチラ.pdf

12月  オニグルミ

ステキナ出会い・写真・オニ.jpg ウッキー!まるで帽子をかぶっているおサルさんのように見えませんか? これは葉が落ちたオニグルミの枝先です。顔に見えるところは葉が付いていた部分で葉痕と呼ばれます。目や口は栄養や水を運ぶ管が通っていた部分です。

 冬は花もなく寂しい季節ですが、こんなかわいい子たちに会えるのは冬だけ。葉が落ちてさっぱりしてしまったオニグルミを見ていたら、かわいいニコニコ顔があちこちにあって、思わず自分もにっこり。同じ木に付いている顔でも、細長かったり丸かったりと形が違うと表情も違って見えるので、お気に入りの顔を探すのもとっても楽しいです。

 木の周りをグルグル回りながら、一つ一つ顔をチェック!「この子はウキウキ顔」「おっ、こっちはバンザイしてる」なんてじっくり見ていると寒さも忘れます。

 顔があるのはオニグルミだけではありません。他にもネジキやリョウブなど、種類によって顔は違います。ただ、普段枝先なんて見ることはあまりありませんよね。見ようと思わないと見えない、そっと隠れている木の妖精たちを探してみてはいかがでしょうか。会えたときにはきっと元気をもらえますよ。ご購読はコチラ.pdf

11月  マヒワ

この時期、使い終わった田んぼや畑がコスモス畑に大変身していることがあります。ピンク、白、赤など色とりどりの花を見ていると、秋ということを忘れてしまいます。
 人にとってコスモスは観賞するものですが、鳥にとってはなんと食べ物。種を目当てにコスモス畑にやって来ます。4面・ステキな出会い・挿絵・.jpg
 去年は珍しくマヒワが大群でコスモス畑に現れ、種をついばむ姿を楽しめました。何百という黄色い小鳥がコスモスの細い茎にとまっているなんて、めったに見られない光景です。
 何かに驚くと一気に飛び上がってしまいますが、上空をまるで一つの生き物のようにぐるぐると舞う様子は圧巻。群れが頭上を通過する瞬間はザーッという羽ばたく音が全身に響きました。そしてまた一気にコスモス畑に舞い降りて、マヒワの飛行ショーは終了。ですが、コスモス畑に下りずに近くの電線にとまってしまうことも…。この方が数は数えやすいのですが、絵にはならないので再び下りてくるまで待ちぼうけ。こんな時間も楽しいですけどね。
 渡り鳥の中でも、特に冬鳥は年によってやって来る数が大きく違います。次はいつ、コスモス畑にマヒワの花が咲くでしょうか?ご購読はコチラ.pdf

10月 アケボノソウ

4面・ステキな出会い・写真.jpg蛍を保護しているとある場所に寄ってみたときのこと。この時期なので、もちろんホタルを見に行ったわけではなく、ホタルがいるくらいの環境には珍しい生き物でもいるのでは、というくらいの気持ちでした。

 田んぼの横から山に続く道を歩いていくと、道の脇に小さな湿地が現れました。いろいろな草に混じってその中に立っていたのは、かわいい白い花を咲かせたアケボノソウでした。ちょうどアケボノソウを見たいと思っていたところだった上に予想外の出会いだったので、心がスキップするくらいうれしかったのを覚えています。サプライズって、このことなんですね。目的のものを目指して行ったときの出会いと比べると、喜びやお得感が何倍にも膨らみます。こんなことは滅多にありませんが、たまにあるからやめられません。

 純白の花びらの先に紺色の点々、その内側に黄緑色の水玉模様が二つ並んでいます。これを夜明けの空に見立てて名づけるとは、さすが昔の人は風情がありますね。ジャムとチョコが乗ったアイスクリームに見える私とは雲泥の差が…。でも、この黄緑色の水玉は蜜を出して虫を呼ぶためのもの。あながちジャムも間違いではないようです。ご購読はコチラ.pdf

9月 ヒガンバナ

4面・ステキナ出会い・写真.jpg 昨日まで緑一色だった風景が、ある日突然真っ赤に染まった…。これには驚きました。

 通勤でたまに通る田んぼ道がありますが、数日ぶりに通ってみるとヒガンバナが一度に咲き出していて、まるで別世界。思わず見とれてしまい、それからしばらくは毎日通るようになりました。

 咲き始めは花びらや雄しべ、雌しべがまっすぐですが、翌日見てみると花びらがクルッとカールし、雄しべたちもグーンと伸びて大輪の花に大変身。ドドーンと打ちあがった花火のようです。

 ヒガンバナは赤色といっても朱色がかっているところが日本の秋にぴったり!形も色も見ているだけで元気が出て、朝のエネルギーチャージにはもってこいです。

 最近はイノシシ除けに電気柵を張っている田んぼも多いですが、ここは幸い電気柵もなく、昔はこんな風景がひろがっていたのかなぁなんて、タイムスリップした気持ちにもなりました。


 ちなみに、ヒガンバナの葉は花が終わってから出てきて春先に枯れてしまいます。同じ球根から出るのに、花と葉がお互い顔を合わすことがないなんて、ちょっぴり寂しい気もします。でもそう感じるのは人間だけなんでしょうか?
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8月 トリノフンダマシ

4面・ステキな出会い・写真.jpg一般的に、クモに対するイメージはあまり良くありません。実は私もずっと、クモは好きな生き物ではありませんでした。でも、それも過去の話。

 真夏の暑い日、ススキの葉の裏側に小さな白い塊が付いているのを見つけ調べてみると、トリノフンダマシというクモの仲間でした。表面がつやつやしていて、鳥の糞に似せることで身を守っているのではと言われている、とても変わったクモです。このクモを初めて見た人はほぼ全員「とてもクモとは思えない」と口をそろえて言うくらいの変わり種。

 この写真のクモは頭が上になっている状態です。白い部分はおなかで、その上の小さい濃い色の部分が頭。そして、頭の両端に三つ指を付くように八本の脚をちょこんとそろえています。

 長い脚を広げて壁にベタッとへばりついているものをクモと思っている人には、とてもセンセーショナル! トリノフンダマシを見てからクモの世界に入る人も多いようですが、私もその一人。今では、大きなクモでも喜んで写真を撮るようになってしまいました。変われば変わるものです。

 どこにでもいるという訳ではありませんが、ダマされたと思って、葉の裏をのぞいてみては?ご購読はコチラ.pdf

7月 ネムノキ

4面・ステキな出会い・写真ネ.jpg毎朝、通勤途中に細い川の横を通ります。その川の土手には、川に向かって枝を張り出している一本の大きな木が立っています。何の木だろうとは思いながらも、いつも素通りしてしまっていました。それがある朝、それまで緑一色だったその木に鮮やかなピンクの花が咲いていて、「ああ、ネムノキだったんだ」とうれしくなったのを覚えています。

 それまでに見てきたネムノキは高いところで花が咲いているものばかりで、なかなか写真に収める機会がありませんでした。しかし、この木は土手から枝を水平に張り出しているため、目線の高さで花を見ることができたのです。

 ネムノキの花は、細い糸のようなピンクのおしべが扇状に広がるという変わった形をしています。落ちた花を束にしてほっぺたをなでると、ひんやりさわさわと気持ちがいいんですよ。

 ちなみに、夜になると葉が閉じて眠っているように見えるので、ネムノキと名前がついています。ある日、夕方六時過ぎに見たときには、もう葉がしおれたように閉じてご就寝でした。では、ご起床は何時なのか…気になるところですが、相当早起きしないと負けてしまうでしょうね。ご購読はコチラ.pdf

6月 モートンイトトンボ

4面・ステキな出会い写真・モ.jpg オレンジ色の糸が草の間を飛んでいる…。このトンボを最初に見たときの印象です。よく見ると、頭もハネもあり、イトトンボの仲間とわかりますが、おなかの先のオレンジ色があまりに鮮やかで目立つので、このように見えてしまいました。
 長さ二cmほどの小さくて細いトンボですが、他のトンボと同じく肉食。小さな虫を捕まえてむしゃむしゃ食べていたりします。
 モートンイトトンボのデートタイムは朝早く。トンボの交尾はオスとメスがハート型になります。その小さな小さなハートを見たくて、ちょっと早起きして七時ごろに行ってみました。まだ朝露の残る草の間をそっと歩いていくと、足元からかわいいハートがフワーッと飛び出し、近くの草にとまりました。とまった先をよく見ながら今度は慎重に近づき…息をすると草が揺れて飛んじゃいそう!と緊張しながらデートの様子を撮らせてもらいました。
 その後、いくつものカップルを見つけましたが、九時前にはほとんど見られなくなりました。トンボは時間に正確ですが、こんな朝型のトンボも珍しいです。もし生まれ変わってモートンイトトンボになったら、朝寝坊はできませんね。ご購読はコチラ.pdf

5月  ヒメボタル

4面・ステキな出会い・写真.jpgホタルといえば夏の風物詩ですが、中には5月の下旬から出始めるホタルもいます。

 ヒメボタルといって、ゲンジボタルよりは少し光が弱いものの、見ごたえは十分あります。

 風のない夜に行ってみると、遠くにフワッフワッと優しい光が見えました。動かないので、どうやら草にとまって光っているようです。ちょっとだけ懐中電灯で照らしてみると、大きな丸い眼と目が合いました。

 夜中の十二時が近づくにつれ光るホタルの数も増えてきて、辺り一面ホタルのライトアップ!
何秒か光り続けるゲンジボタルやヘイケボタルと違って、ヒメボタルの光は点滅です。なので、飛んでいるときの光跡は、線ではなく点々になるのが特徴です=写真=。

 当然のことながら、どこをどう飛ぶかはホタル任せ。だから写真に収めるのは結構大変。今回の写真も、いい感じで飛んでくれた時の何枚かを合わせたもの。でもその気まぐれさが楽しいんですよね。ハート型に飛んでくれたりしないかな〜なんて思いながら撮っていると、あっという間に夜中になってしまいます。

 今年もホタルさんたちの恋路を邪魔しないように、そっと見に行ってみようかな。ご購読はコチラ.pdf

4月 ウラシマソウ

4面・ステキな出会い・写真.jpg 春になると林に現れる釣り師がいます。「水辺じゃないのに何も釣れないでしょ?」 「いえいえ、釣りをしている雰囲気だけでいいんです」

と思っているかどうか知りませんが、長い釣り糸を垂らしているかのような花は、その名もウラシマソウと言います。

一歩足を踏み入れるとそこはウラシマワールドというくらい、いっぱい生える公園があり、あまりの多さにびっくり。しかも、日除けのパラソル(みたいな葉)まで立てちゃって、みんな時間を忘れてのんびり釣りを楽しんでいるご様子。ある場所では一人で静かに、別の場所ではカップルで、また別の場所では団体さんで…。見ているだけで和みます。ちなみにこの花、サトイモの仲間なんですよ。

たまにパラソルに釣り糸が引っかかっているウラシマさんがいます。そのままでも花としては構わないのでしょうが、どうしても外してあげたくなってしまいます。

太い花もあれば細い花もあり、それぞれ個性たっぷり。だから一つ二つと数えるより、一人二人の方が似合いそうな気がします。そしてウラシマソウを見るとつい言葉をかけてしまいます。

「ウラシマさん、今日の釣果はどうですか?」ご購読はコチラ.pdf

3月 ヒサカキ

4面・ステキな出会い・3月・.jpg 三月に入るとヒサカキの花が咲き始めます。小さい花が一つまた一つと咲くにつれ、春が一歩ずつ近づいてくるように感じます。

 花の香りは種類によってさまざまですが、ヒサカキはとても独特な香りがします。どんな香りかというと、一般に「ガスのにおい」と表現されるもので、どちらかというとあまり好まれる方ではないようです。ただ、ほのかに香ってくる程度ならむしろさわやかな感じがします。

 夜に、ある公園の横を自転車で通りかかったとき、強烈なにおいを感じたときがありました。香りと表現するには程遠い、鼻を突くようなガス臭さ。一瞬、なんだろうと思いましたが、すぐにヒサカキとわかりました。ガス漏れと勘違いして通報する人がいる、という話もうなずけます。

 同じ鼻で感じるものでも、「におい」と言うのと、「香り」と言うのとではイメージが変わってきます。さまざまな感覚の中でも嗅覚は特に個人差が大きい感覚です。なので、同じヒサカキの花をかいでも「におい」と感じるか「香り」と感じるかは人それぞれ。ヒサカキには毒はありませんので、これを「春の香り」と感じていただけたらヒサカキ共々幸いです。ご購読はコチラ.pdf

2月 ニホンアカガエル

3面・ステキな出会い・ニホン.jpg まだまだ寒いこの時期に冬眠から目覚め、産卵するカエルがいます。ニホンアカガエルやヤマアカガエルといった種類のカエルで、外敵の少ない寒い中、わざわざ起き出し、産卵が終わると春までまた眠ります。

 産卵のほとんどは夜中から明け方にかけて行われるので、なかなかお目にかかれません。しかし雨の直後などには明るいうちから、メスを待つオスの姿をたくさん見ることができます。

 卵でおなかが膨らんだメスがやって来ると、オスたちは我先にとアタック。メスの数の方が圧倒的に少ないので取り合いになります。一匹のメスに七匹のオスが寄ってたかって団子状態になっていたこともありました。

 無事カップルが成立しても、すぐに産卵するとは限りません。産卵の瞬間を見ようと、暗い湿地で寒さに耐えながら、二時間以上もカエルのカップルを見続けたこともあります。

 真っ暗な中で一人でいるのは、やはり怖いものです。そんな時、遠くから一つの光がまっすぐ近づいて来たことがあります。こんな時間に…とドキドキしていると、なんと!カエルの産卵をを見に来た知人でした。こんな怖い出会いは二度とゴメンです。ご購読はコチラ.pdf

1月  ヒヨドリ

2013.1ヒヨドリ.jpg 一月に鳥が集うカキの木。このころになると渋柿も食べ頃になって鳥たちが大集合します。メジロやツグミ、シロハラなど、いろんな鳥がやって来ますが、中でも一番多くて強いのはヒヨドリ。集団でやって来る上、気が強いので他の鳥を追い払います。ヒヨドリ同士でも一番おいしそうな実を巡って激しいバトルが繰り広げられます。

 ヒヨドリの食事はとてもアクロバティック。ぶら下ってクルッとひっくり返りながら、垂れる枝に生った実を食べます。ほら、おなかが丸見えです。入れ替わり立ち代わりやって来る鳥を見ていたら、寒さも忘れてしまいます。

 こうやって木の下で見ていたある日、突然、鳥たちが飛んで逃げて行きました。別に驚かしたわけでもないのに何でだろう?と不思議に思いながら目線を近くの茂みに降ろした瞬間、そこにとまっていた一羽の鳥と目が合い、そして音もなく飛び去りました。それは小さなタカの仲間、ツミでした。カキの木の鳥たちは、その気配を察して逃げて行ったんです。


 目が合った瞬間に背筋に感じたゾクゾク感は、今でも忘れられません。あの気配に気づかないようでは、私は野生で生きていけませんね。ご購読はコチラ.pdf


12月 タゲリ

4面・ステキな出会い・写真・.jpg 冬の田んぼには、いろいろな鳥たちがやってきます。近くで見るには車で畦道をゆっくり走るのが一番。鳥にとって人は怖いものですが、車は人の形をしていないからか、意外と怖がることなく近寄らせてくれます。

 運の良いことに、車の先に一羽のタゲリが立っていました。タゲリは冬に見られる鳥で、頭の後ろに伸びる長い羽が特徴。また、背中のメタリックな緑色もとてもきれいです。目立ちそうなものですが、茶色い田んぼの中では周囲にまぎれてしまうから不思議です。

 車を徐々に近づけて、中からそっとレンズを向け…これまた運の良いことに、ほとんど警戒せずのんびりとしてくれました。警戒心には個体差があるので、こんな良いモデルさんに出会えるとラッキーです。時折吹く風に髪(?)をなびかせながらくちばしで土を掘って虫などを食べているようでした。

 ほとんど声を出しませんが、たまに鳴くときもあります。どんな鳴き声だと思いますか? タゲリは、きりっとした見かけに似合わず「ミャー」と鳴くんです。話には聞いていましたが、初めてその声を聞いたときは、あまりのかわいさに感激しました。

 タゲリの特徴である頭の長い羽は一本ではなく、過去最多五本ありました。あるご長寿アニメに出てくるお父さんはてっぺんに一本…。確実にタゲリの勝利です!ご購読はコチラ.pdf

11月 オオカマキリ


素敵な出会いに感謝・写真.jpg茶色に変わった草の中にオオカマキリを見つけました。この日は天気がよかったので日向ぼっこをしていたようです。カマキリはほとんどの種類が冬を卵の状態で過ごします。つまり、成虫は冬になる前に卵を産み、その命を終えることになります。特にメスは、この時期は卵を産むためにラストスパートをかけなければいけません。でも寒くなってくると、獲物となる虫なども減ってきてしまうので大変。

 そんな時に、このカマキリの前にカメムシがのそのそと現れました。茶色いカマキリが茶色い草で上手にカモフラージュされ、カメムシは気にせず近づいてきます。カメムシがカマキリの射程距離に入った瞬間、二つの大きなカマがカメムシをがっちりとらえました。

 人が骨付きの肉を両手で持って頬張るように、ムシャムシャとカメムシをかじるカマキリ。ハネはさすがに堅すぎるようで、食べずにぽろっと落としていましたが、あとは頭まできれいに平らげる無駄のない食事!人も見習わなくては…。

 わずか十分ほどの食事時間が終わると、最後は商売道具の両カマを口できれいにお掃除して終了。この時の「ふう、食べた食べた。」とでも言いたげな満足そうな顔がとても印象的でした。

 後日、この場所にはいくつものオオカマキリの卵が。カメムシの命がカマキリの卵へバトンタッチされたんですね。ご購読はコチラ.pdf

10月 アキアカネ


素敵な出会いに感謝・写真.jpg日本の秋の風物詩といえば稲刈りとアカトンボ。日本で見られるアカトンボの中でアキアカネは最も有名です。アキアカネは初夏に平地の田んぼで羽化すると高い山に移動して夏を過ごし、秋になるとまた平地に降りてきます。体の色は羽化してしばらくは黄色ですが、結婚適齢期を迎えるこの時期に赤く変身します。

 アキアカネは稲刈りの終わった田んぼが大好き。田んぼのちょっとした水たまりで、雌雄がつながって飛びながら産卵します。田んぼの脇の道から中をのぞくと、いくつものカップルが産卵していたので、ちょっとお邪魔してあぜ道に入らせてもらいました。

 雄のおなかの先と雌の頭がつながった状態で三秒ほどホバリングした後、雌がおなかの先を泥の中にチョンとつけて産卵。ちょっとずつ移動しながら何度も何度も繰り返して、何百という数の卵を産み付けます。

 昔はトンボのことを「秋津」と呼んでいました。これは「秋にたくさんいる物」という意味があるそうです。そして日本のことを秋津島と呼んでいた時代があります。

 ただ残念なことに、三十年ほど前から、アキアカネをはじめとするアカトンボの仲間が農薬などの影響で激減しています。「トンボがいっぱいいる島」という名前に恥じないくらい、無数のアキアカネが秋空の下で飛び交う風景を取り戻したいものです。ご購読はコチラから

9月 アサギマダラ

5面・ステキな出会いに感謝・.jpg緑色がかった水色のことを「あさぎ色」といいます。アサギマダラはハネにあさぎ色の模様があるチョウで、海を渡ることでとても有名です。春に南から日本にやってきて山で繁殖し、そこで生まれたチョウが秋に南へ渡っていきます。今
は、その南に向かうアサギマダラに出会うことの多い時期です。

 特徴的なので、いたらわかりやすいのですが、けっこう神出鬼没。年にもよりますが、出会えたらラッキーというくらいの確率です。ただ、白っぽい花が好みのようで、この時期に咲くヒヨドリバナなど白い花の前で見ていると、出会う確率が高くなります。

 ヒヨドリバナが並んでいるところに、アサギマダラがフワリとやってきて、目の前で蜜を吸い始めたことがあります。花にぶら下がるようにつかまって、時々羽ばたきながら一生懸命蜜を吸うアサギマダラ。長旅の途中の休憩所という感じでしょうか。ヒヨドリバナは小さい花が寄り集まって咲き、アサギマダラはその小さい花一つ一つに順にストローを差し込んでおいしそうに蜜を吸っていました。

 アサギマダラのフワフワとした飛び方は、決して力強くはなく、むしろこんな飛び方で海を渡れるの?と思ってしまうくらいです。でも、逆に長い時間飛び続けるにはエネルギーを一気に使わないこのような方法が一番なのでしょう。何事も長期間続けるためには、焦らずゆっくりと、ですね。ご購読はコチラ.pdf

8月 カラスウリ

5面・ステキな出会い・写真.jpg花火にお祭り、盆踊り。夏の夜はいろんな楽しいイベントが盛りだくさんです。もちろん、自然界にもそんな夏の夜のお楽しみがあります。

 カブトムシ採集?いえいえ。それは、カラスウリの花の開花です。カラスウリの花は夜に咲き始め、一晩で咲き終わってしまうという儚い花。

 このイベントは、夜の七時ごろから始まります。まず今夜咲きそうなつぼみを昼間に見つけておきます。そろそろ開き始めるころに見に行ってライトで照らすと、白いフワッとした物が浮かび上がりました。つぼみの真ん中から細い花びらが次々と湧くように出てきています。そして外側に垂れて伸び、あっという間に花はヒラヒラのレースで飾りつけ完了!

 この花には、ガの仲間が蜜を吸いにやって来ます。羽ばたきながら細長いストローを花の中に突っ込み、おいしそうにお食事。そしてそんなガを狙ってか、カマキリも来ています。ちなみにカマキリの眼は、夜は黒く変わるんですよ。こうやってカラスウリの周りだけで小さな生態系が見事にできあがってしまい、花以外でも楽しむことができます。

 翌朝その花を見に行ってみると、あれだけきれいに開いていた花は初めのように花びらを中に収納して閉じていました。一晩に全てをつぎ込むんです。しかし、あの花びらを全部入れ込むとは、なんとも見事な収納術。私も見習って片付け上手になりたいものです。ご購読はコチラ.pdf

7月 オニヤンマ

5面・ステキな出会い・写真.jpg 日本最大のトンボで、誰もがその名前を知っているオニヤンマ。梅雨も半ばが過ぎるころに羽化が始まります。ただ、羽化は夜中から早朝にかけて始めることが多く、一部始終を観察できる機会は多くありません。

 ある日、道脇の木に、5㎝ほどの大きなヤゴの抜け殻がついてるのを見つけました。オニヤンマです。「羽化が見られるかも」と翌朝7時過ぎに行ってその近くを探してみると、まだ抜け殻につかまっているオニヤンマを見つけました。ようやく体が伸びきったところのようで、まだハネは開いておらず、四枚のハネがピッタリとくっついたままです。羽化したてとはいえ、やはりオニヤンマ。貫禄があります。

 そっと見守っていたら、ポンとハネが開き、飛び立つ準備が整いました。だんだんと体の色が濃くなり、オニヤンマらしくなってきました。この後プルプルとハネを小刻みに震わせ、準備運動をしてから大空に飛び立っていきました。

 羽化はトンボにとっては一大イベント。羽化までこぎつけたものの途中で力尽きたり、どこかが引っかかって殻から抜け出せずに失敗したりして、飛び立つことができないものもいます。

 ちなみに、オニヤンマは卵から成虫になるまでに3〜4年かかるそうです。それだけ何度も暑さ寒さを乗り越えてこの日を迎えたのかと思うと、羽化の喜びを本人(?)以上に感じずにはいられません。ご購読はコチラ.pdf

6月 モウセンゴケ

5面・ステキな出会いに感謝・.jpg六月の湿地にはいろんな花が咲いています。そんな花を見に行った湿地の一角に岩肌が丸見えの部分があり、そこには小さな小さな白やピンクの花が咲いていました。

 白い花はモウセンゴケの、ピンクの花はトウカイコモウセンゴケの花。どちらも、細い糸のような細くて長い茎の先に、飾りのように花が一つついています。丸い五枚の花びらで、「花を描いて」と言われたら、ほとんどの人が描くのではないかと思うような、花らしい花の形をしています。びっしりかたまって咲くことはありませんが、たまたま双子のように同じ高さで寄り添うように咲いている仲良しさんを見つけました。花でもやっぱり一人(一輪)よりは二人(二輪)の方が、なんとなく楽しそうに見えませんか。でも、そんなかわいい花にも、足元には驚くべき事実が!

 実はモウセンゴケの仲間は食虫植物です。地面にへばりつくように生えている葉にはネバネバの毛があり、これで虫を捕まえて栄養にしています。この日は捕まった虫はいませんでしたが、以前、運悪くモウセンゴケの真横の草で羽化したハッチョウトンボが、このネバネバに捕まってしまったところを見つけたことがありました。花粉の運び屋以外に、虫をこうやって利用する花を意外と身近で見られます。

 「優雅な白鳥も、水面下では脚を必死に動かしている」と言われるように、きれいな花も足元は結構大変なんです。ご購読はコチラ.pdf

5月 ニホンカワトンボ


5面・ステキな出会いに感謝・.jpg晴れた日に川の支流に行くと、オレンジ色のハネをした細い体のトンボたちがいました。ニホンカワトンボといって、オスは銀色に光る体に濃いオレンジ色のハネをしたきれいなトンボです。メスのハネは淡いオレンジ色なので、雌雄がすぐにわかります。

 オスたちは川に張り出した草や川岸の岩などに、ポツンポツンと間隔をあけてとまっています。それぞれ縄張りを持ち、その縄張りにやって来るメスをひたすら待っています。ギンヤンマのように常に飛び回ってメスを探すトンボもいれば、このニホンカワトンボのようにじっと待つタイプのトンボもいます。でも、さすがに縄張りに侵入してくるオスがいると、すぐに飛んでいって追い出しにかかります。無事追い出しに成功して元の場所に戻って来ると、ホッとしたようにハネをパタッと閉じて何事もなかったかのようにまたメスを待ちます。

 白っぽい岩にとまっていたトンボをそっと見ていると、閉じていた四枚のハネをフワーッとひろげ、水平までひろげるとパラパラッと閉じるという動作を始めました。ハネをひろげた瞬間、透けたオレンジ色が岩に映り、ステンドグラスのような美しさに思わず見とれてしまいました。「もう一回!」とトンボにおねだりしたくなるほどの素敵なパフォーマンス!

 とても暑い日でしたが、見入っているとあっという間に時間が過ぎてしまいました。ご購読はコチラから

4月 ミソサザイ

5面・ミソサザイ写真.jpg 春になってさえずり始める小鳥たちを楽しもうと、朝まだ暗いうちに家を出て、車で一時間半ほどの渓流に向かいました。今回のお目当てはミソサザイ。スズメよりも小さい日本最小クラスの鳥です。全身こげ茶色で地味ですが、さえずりの美しさとボリュームは早起きして聞きに行く価値があります。
車を停め、流れに沿って歩いていくと…聞こえてきました!文字では表現できない複雑なメロディーです。高く澄んだ声の方向を探すと、コケの生えた倒木の上で口を大きく開け、短い尾を上下に振りながら歌っています。胸を張って自分の歌を周囲に向けて響かせる姿は、まるでオペラ歌手のよう。ひとしきり歌うと、草の中に消えていきました。あら、これでおしまいですか?
 いえいえ、まだまだ続きます。しばらくすると少し離れた場所にひょいと出てきて歌い、また姿を消します。
 追っていくと、いつの間にやら最初の場所に戻っていました。ミソサザイはいくつかのお気に入りの場所を巡るため、慣れてくると現れる場所が予想できます。次はここと思った場所で待ち、それが当たるとうれしいものですが、完全に規則的ではないので予想が外れる場合もあります。
こんなお楽しみも、お昼前にはほとんど鳴かなくなって閉幕。でも、あのメロディーはしばらく耳の奥で響き続け、帰ってからもコンサートの余韻に浸っていました。ご購読はコチラ.pdf

3月

自然観察にいこう・イラスト.jpg ホーホケキョとウグイスがさえずり始めると、小鳥たちの恋の季節がやってきます。ちっちゃい体に長い尾が特徴のエナガもその一つ。木の間をちょこまかと動き回るエナガを見ていたら、男爵のような立派な口ヒゲを生やしたエナガがいました。ヒゲを生やしてメスの気を引こうとしている…のではありません。よく見ると、口ヒゲに見えたのは、くわえた羽でした。エナガは木の幹の叉などにボールの様な巣を作ります。その巣の材料にする羽を集めていたんです。
 エナガの巣には様々な鳥の羽が使われます。使い終わったエナガの巣から、エナガ自身の羽だけでなく、キジバトやトラツグミといった他の鳥の羽がたくさん出てきたことがありました。多くの羽を効率よく集めるためには、タカが食べた跡など羽がまとまって落ちているところを見つけているのでしょう。命を無駄なく使ってたくさんの命を育てているんですね。
 こんな貴重な羽とコケでふわふわの巣を作り、中で卵を抱いてヒナを育てます。いくらエナガの体が小さいとはいえ、尾を曲げないと巣の中に親鳥の体が収まらないため、ずっと卵を抱いているうちに尾が寝癖のように曲がってしまいます。尾が丸く曲がったエナガがいたら、どこか近くで子育てをしている証拠です。あどけない表情のヒナを連れたエナガファミリーに出会えるときをお楽しみに。ご購読はコチラ.pdf

2月

5面・自然観察イラスト.jpg 鳥の羽をじっくりとご覧になったことはありますか?
 羽は一枚の板に見えますが、じつは一本の軸の左右に細い糸のような羽糸(うし)がびっしり生えており、隣同士の羽糸がくっつき合って板のようになっています。
 翼や尾、胴体など付いている場所によって、一枚一枚羽の形は違います。見慣れるとどこの羽ということや、さらに羽一枚で鳥の種類までわかることもあります。
 羽は鳥にとって服のようなもので、人と同様衣替えをします。多くの鳥の衣替えは子育ての終わった秋に行われます。
 なぜ冬に羽の話をするかというと、この時期は一羽丸ごとの羽が手に入りやすいからです。秋の生え換わりでは全ての羽が同時に抜けないため、落ちていても一本だけということがほとんど。冬に羽がたくさん手に入る理由。それは、冬はタカの仲間が多く、そのタカたちが鳥を捕まえて食べるから。タカは捕まえた鳥の羽をむしってその場に落とすので、様々な部分の羽が一カ所に落ちているという訳です。
 意外と白い鳥でも羽の大部分は黒かったり、何枚もの羽が重なって一つの模様になっていたりしますので、羽一枚になると持ち主を当てるのは難しいもの。食べられた鳥には申し訳ありませんが、寒い日におうちで羽の図鑑を広げて持ち主探し、なんていかがですか?ご購読はコチラ.pdf

1月

5面・自然観察イラスト.jpg 辰年の年始めは、リュウノヒゲとも呼ばれるジャノヒゲをご紹介します。
 ジャノヒゲは、その細長い葉を竜の髭に見立てて名付けられた植物です。何本もの葉が地面から伸び、葉先は根元を覆うように垂れ下がります。
 葉は一年中青々と茂っていますが、待てど暮らせど花が見えてきません。それもそのはず、花は小さくうつむいているうえに、葉の根元付近にひっそりと隠れて咲くからです。花は夏に咲きますので、今年の夏をお楽しみに。竜だけに体を長くしてお待ちください。
 今はちょうど実が見ごろの時期。ジャノヒゲの実は宝石のラピスラズリを思わせる深い青色をしています。ツヤツヤ、まん丸の実は宝石そのもの。ただし花同様、葉に覆われているので葉をかき分けないと見えません。こっちはあるかな、向こうはもっとあるかも、なんてワクワクしながら宝探ししてみませんか。
 なんとこの宝石の中には、もう一つ秘宝が隠されています。青いラピスラズリのベールをそっと開けると、なんと中には真珠が!
 ジャノヒゲの実は、実とはいいながらじつは種子で、ラピスラズリは種の皮、真珠は種の中身というのが種あかし。種だろうがきれいなものはきれい!
こんなすてきな宝石だからこそ、竜は髭で隠して大切に守っているのかもしれませんね。ご購読はコチラ.pdf