野の花を愛でる足助人たち
(平成20年7月4日号掲載)
 ありきたりの高齢者福祉センターでは、限りなく民に近づく経営はおぼつかない。その想いをこめて新設の足助福祉センターには「百年草」と命名した。「百年草」館と同時発足の足助山草会の会報名は熊谷草(クマガイソウ)。足助を代表する貴重な野生蘭である。
 当時追分の大山さんが熊谷草の山地増殖に成功し、多くの愛好家に公開もした。二千株余のそれがこの数年で、猪害や嫌地(いやぢ)現象からか危機的状況。こんな事を予知してか草友に分株するも、十年は殖えたが成績不良と答える人が多い。足助のエビネ寺で名高い宗源寺も同じだ。
 本命のエビネについても和尚は、バイラスには冒されていないが開花本数の減少ありしとか。同一場所で栽培の土壌管理を模索しておられる。対象はエビネが昔から自生していた林の中のエビネ。ブームで盗株はあったが、最近は場を変えて増える兆しありとのことだ。
 いま調子のよいのは、明川(あすがわ)の内藤一成君だ。前山の山水の流れる五十年木の杉林はエビネ、山しゃくやくに加え、熊谷草が見事。不自由な身ながら朝な夕なに訪ねるのが最高の生甲斐のようだ。小生も小鳥のさえずりを待ち、裏山からの湧き水を飲み、多種多様に植えこんだ山草のごきげん伺いが朝の日課。昨年までは生きていたのに、消えるもの、場を変えて生きづくもの、様々な変化がおもしろい。従来からこの地の種が強いも、里山人の都合で彼女らは孤高に生きるを止めてしまう。
 花屋さんの隅っこにあった和花(山草)が消え、改良され尽くした洋花が目立つ。さりげなくそっと咲く野の花は可愛いものである。
(足助観光協会会長)
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